この本、

私が今まで読んだ本の中で、

1番気が滅入り重くなった本かもしれません。


若い頃読んだ、

ナチス収容所での体験を記した「夜と霧」を読んだ時も、

同じような衝撃を受けた記憶があります。



この本はノンフィクションであります。



2018年に起きた

「滋賀医科大学生母親殺害事件」



滋賀医科大学看護学科4年生で31歳の女性が、

58歳の母親を殺害した事件。

殺害後、Twitter(現X)に

「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と投稿し、死体の傍らでテレビドラマを視聴して眠り、

母親の遺体を解体して滋賀県内の河川敷へ遺棄した事件。


まだ記憶に新しいですよね。




通称「滋賀医科大学生母親殺害事件」の犯人とされる人物と、

2年にわたり交流した著者が、

その出生や動機、心の動きなどをまとめた本になります。


公判を取材し続けた記者が、拘置所にいる本人と面会を重ね、刑務所移送後も膨大な往復書簡を交わすことにより出版できた真実の物語。



この本の中では、犯行を犯した女性は 

「高崎あかり」という偽名で書かれてます。


ノンフィクションなのに何故偽名にしたのかは謎ですが。

ネット見れば簡単に本名わかるのに。


本名は「桐生のぞみ」。



この事件の要因は子供に対する「教育虐待」と言われてます。


「高崎あかり」は国立医学部に合格するため厳しく教育されるが不合格の連続で9年間浪人して、

結局は滋賀医科大学医学部看護学科に入学。


本人は看護師になりたいと思うようになったが、

母親が「看護師なんて許さない!」と罵倒され続ける。




この本には、

実際に母親とやりとりしたLINEやメールが紹介されます。


「教育虐待」というレベルを超えてる。

「毒親」というレベルも超えてる。


世の中に、

こんなに酷い母親が存在するのか!信じられない!


というレベルの酷さ。

胸糞悪くなるレベルであり、

母親を殺してしまった彼女が本当に哀れで可哀想で涙が出てきます。



詳細に興味ある人はぜひこの本を読んでください。


ただし、

メンタルダウン確実の本です。


この母親を殺すのは当然だよね、としか思えないレベル。


彼女自身も裁判で

「自分が死ぬか母親が死ぬかしか解決方法はなかった」と述べてます。



これ、

健全な家庭に育ち健全な思考ができる人は


「何故、母親から逃げなかったのか?」と思う。


実際、

彼女は3度家出してるが、

母親が探偵を使ったりして引き戻されてる。


探偵が調べようもないくらい、どこか遠くへ逃げれば良かったのに、

と私は思いました。


しかし、

そもそも彼女には

「母親に虐待されてる」という認識がゼロだった。


怖い話です。



物心ついた時からそういう環境なわけです。



身体的虐待も加えられてるのに。

母親に虐待されてるとは思ってなかった。

愛されてると思ってたわけです😱


そして

彼女はなんだかんだで母親を愛していた。


母親は、

娘に「お前のせいで自分は不幸だ」と罵倒する。

彼女は、

自分のせいで母親が不幸なことを本当に申し訳ないと

感じるんです。


彼女が滋賀医科大学看護学科に合格して2,3年間は

比較的落ち着いた年月でした。


彼女はテーマパーク好きな母親と一緒に出かけたりして、

母親の笑顔の写真を何百枚も撮って嬉しかったと

言ってる。



側から見たら、

虐待であったり、育児放棄状態であっても、 

子供は母親(何故か父親というパターンは少ない)を

愛する。


そして母親も

「子供は自分を愛してくれてる」と思い、 

哀れな子供の愛情をいいことにさらにやりたい放題。



育児を放棄してたり、虐待をしてる親に限って、

「自分は我が子を愛してる」

「我が子も自分を愛してくれてる」

「我が子はいい子だ」

なんて言ってのける。



そして、

この殺された母親。

本の中では「高崎妙子」という偽名。

本名は「桐生しのぶ」。


この母親、狂ってるとしか思えない。

異常なんです。


そして当然と言えば当然なんですが、

この母親も大きな愛着問題を抱えてる。


この母親は実の母親に育てられてないんです。

実の母親、

つまり高崎あかりにとっての祖母。


この祖母は高崎妙子の実の父親とは離婚?して、

駐屯米兵だった男性と再婚してアメリカに渡米してる。


娘の高崎妙子は叔母夫婦に預けられ育てられる。


成長してからアメリカに行き、

母親の元に身を寄せたりしたが2年程で帰国。


アメリカの母親とは仲は悪くなく、

メールなどでやり取りはしていた。

その母親の再婚相手の元米兵はアメリカで歯科医になり

裕福な暮らしをしていた。


その祖母が高崎あかりの学費など援助してたそうです。


つまり、

母親は実の母親の愛情を得るため、

母親に認められるために孫である高崎あかりを

医師にしたかったわけです。


さらには母親本人は工業高校卒。いわゆる高卒であり

学歴コンプレックスがあった。 

そのコンプレックスを娘を高学歴にすることで

解消したかったという構図です。



しかし程度が半端ないんです。


母親は殺されて当然レベルの酷い仕打ちを我が娘に

長年にわたりしてきたわけですが、

母親自身も実の母親から育児放棄されて愛着問題を抱えていた。


我が子への愛情の与え方を学んでなかったわけです。




高崎あかりの刑期は10年間。


人を殺めたのだから仕方ないけど、

限りなく正当防衛としか思えず重い刑にすら感じます。


自殺せず生き抜いてきただけで偉いと思える過酷な

人生を歩んできた彼女。



刑務所での生活を

「ここではルールを守れば怒られないから幸せです」

と言ってる。

刑務所では安心して暮らせると。

可哀想すぎて涙が出ます。



幼い子供って、

母親が大好きで母親から愛されたい。


なので側からみたら、

酷い母親、育児放棄してるような母親、虐待してるような母親でも、 

幼い子供は親のことを決して悪く言わないし庇うし、

母親を愛する。



本当に胸が苦しくなる。



子供って、

産んだだけではもちろん意味がない。

どのように幸せになるように育てるか。

産み落とすだけなら、犬猫でもできますから。


不幸な子供は常に世の中に存在するのが現実だけど。




そうそう!

衝撃的な大切なことを書くのを忘れてました。


この母親!

睡眠薬マイスリーを飲んでたんです。


マイスリーのオーバードーズで自殺未遂てしてる。

娘が救急車呼んでるんです。


その頃から、

母親の狂気がどんどん増してきた。


娘が証言してます。


怒り出すと狂ったように異常になる。

感情コントロールができてない!


もちろん、

元々十分に異常性のある母親ですが、

ベンゾがさらなる加速と増加をさせたのでは?!


異常者がよくよく聞くとベンゾ飲んでた!

て、

本当にアルアルケースなんですよ!


事件の陰にベンゾあり。


いやぁ、

この本読んで、

異常な気狂いのような母親がベンゾ依存者と知り

たまげました。


マイスリーってけっこうヤバいのよ。



しかし、

テストの点が悪いと熱湯かけたり、

鉄パイプで殴るような母親が自殺未遂した後も、


娘さんは、 

自分のせいで母親が自殺未遂したと本気で悲しんで、

さらに勉強頑張らなくては!と頑張る。


母親を幸せにしたい、

母親を笑顔にしたい。


ここまで狂って歪んだ母娘の愛着問題が存在するということに、 

本気で気分が悪くなりました。


刑を終えた彼女には幸せになってほしい。





それにしても、

正当防衛としか思えない彼女の刑が10年。


両親を殺した?猿之助に執行猶予がつく。


矛盾しか感じません。



死にたい!と言って睡眠薬飲んだ人にビニール袋被せ

殺しても執行猶予つくんですねぇ。

しかも2人ですよ!2人。


ま、

猿之助の場合は、

最初から執行猶予ありきって感じでしたね。


世の中は不平等なんですよ。



とんでもない母親の元に生まれ落ちるのも運命。