精神病を知る本

別冊宝島編集部


この本、読みたかったんですよね。


別冊宝島の編集部が精神病について特集
を組んだ記事。

編集部の人達が、
「うつ病」の仮病を装い5箇所の精神科や心療内科に行ったら、
5か所で抗うつ薬SSRIのパキシルを処方されたという話は有名。

精神科医は仮病を見抜けず、

健常な人に簡単に「うつ病」という診断をくだしたという、

精神科医の診断なんていい加減!!


を暴いた記事。



この本は、
基本的に精神医学の内在的な批判

として
展開されてます。


時は1999年。


今からほぼ20年前以上。


ちょうど日本で抗うつ薬SSRIが処方され始めた頃。

「うつは心の風邪キャンペーン」が
大々的にメディアや医療機関で宣伝され、

「うつ病」患者が急増した頃。

20年も前に、
日本の精神医学や医療を批判する
特集を雑誌社が取り扱っていた。



でも結果は?!


そんな批判なんてモノともせず、
精神医学はどんどん拡大して、
精神疾患患者も急増。


日本の5大疾患にまで食い込みました。


いくら精神医学批判をしようとも、
現実はいい方向には向かわない。

虚しいものです。


イントロダクションから
このように書かれてます。


「精神病」なるものは、
その人物の周囲の人間によってまず
「発見」される。


ある人に異常や狂気の兆候を私たちが見出すのは、
その人が「変わっている」
つまり、
「私たちと同じではない」と判断するから。


デュルケームの有名な言葉。

「我々は、それを犯罪だから非難するのではなく、
我々がそれを非難するから犯罪なのである」


この言葉を借用するならば、

「我々が異常だと非難するから
それは異常なのだ」



「私たちと違う」というだけで、
私たちは「精神異常者」のラベルを貼り付ける。

もちろん、
一般人の我々が「精神異常者」の
ラベルを医学的に貼ることはできない。


それをするのは精神科医。

精神科医による判定で、
精神科医が診断を下して初めて、

その人物は「精神病者」ということになる。


精神医学の歴史を勉強するとわかりますが、

精神医学とは元々は、

異質な人間を排除するために産まれた医学。

中世ヨーロッパでは、
それこそ恐ろしいところに監禁隔離され、
見せ物扱い。

日本でも
座敷牢に精神病患者を閉じ込めてたのは
まだ今世紀の出来事。


このイントロダクションでは、

「精神病」とは、
近代精神医学が創り出した
(あるいは発見した)病気なのである。


近代精神医学が考案される以前から
「狂気」という人間現象は存在した。

しかし、
それは必ずしも「病気」としてだけの
解釈ではなく、
社会によりさまざまな解釈をされていた。

社会によっては、
聖なる者とみなされたり、
霊的な存在として大切にされたりもした。



「精神病」なるものが、
あらかじめあって「精神医学」が誕生したのではない。

「狂気」や「変わった人」の解釈装置として、
「精神病」という病の概念が生み出されたのである。



この本のイントロダクションでは、

病として造られた「精神病」と、
それを病として囲い込む精神医学、


その内実は、
はなはだいかがわしいとしか思えない。

狂気が人間を苦しめるし、
それが恐るべき状態であることは否定できないが、

それは、
人間存在の不可思議さを解き明かすために人間に与えられた謎ではないか?



結んでます。


20年以上も前に、

「精神病」と「精神医学」が、
はなはだいかがわしい!


という雑誌特集があったのですね。


むしろ、
今の方が情報規制、報道規制が強いのかもしれません。


わたしも過去に何度かブログに書いたテーマ

「精神に病は存在するのか?」
「精神病は存在するのか?」

現代では「精神病」と判定されるような
精神状態は確かに存在する。

でも、
それは「病気」として認定して、
しかも
「向精神薬」で治すというものであるのか?

そもそも
向精神薬で本当に治るのか?

(精神科医も認めてる人はいますが、

薬じゃ根本的に治りません。

単なる対処療法


根本的な謎というかテーマがある。



いやぁ、
この本、
文庫本ですが読み応えありそうです。


古い本なので書店などではもうあまり
見かけない。


職場の書庫の奥で偶然見つけたんです。

しかし、
大量の本の中から、
たまたまこの本がわたしの目に飛び込んでくる!



なんか、
やはりわたしは精神医学と赤い糸で結ばれてるのでしょうか?


嬉しくないわぁ。




精神科に通院してない人でも


「変わった人」

「この人変!」


なんて人はたくさん存在するような

気がします。


人と違って当たり前!

変でもいいじゃないか!


てのが綺麗事なんですが、


仕事などでそういう人と組まなくちゃいけなくなると、

現実は辛い。


関係ない人ならどうでもいいし綺麗事言えるけど、

自分に迷惑が降りかかってくると、

人間ってまた意見が変わる。


難しい問題です。




お!

新装版もあるようです。