NHK土曜ドラマ、『ハゲタカ』。

最近TVの話題が多くなっている私ですが、このドラマは中学時代の恩師で現在画家として活躍する画伯が作品を提供してているということで、かなり期待感を持って見始めましたが、実際見てみるとどうして、どうして・・・

いつ私もこういう世界に放り出されるかわからない・・・

ビジネスをしていたらいつ誰だって可能性のある世界に、人事と思えず、自身を重ねて色々思考しながら見ていたドラマでした。


主人公である投資家鷲津は、かつて銀行員時代に、貸し渋りの結果自殺を遂げた中小企業事業主への贖罪の思いが消えず、その自分の弱さを隠すがゆえに、無常な投資家として成功を収めていましたが、その非常な仕事ぶりとは別に、心の中には純粋な思いを残していたのか・・・ いえ、恐らく、自殺へと自分が追い込んでしまった事業主の娘との再会で、心に金銭以外の価値を思い出し、徐々に鎧を脱ぎ去ったのでしょう。


鷲頭の仕事は、今にも死に掛けた企業を安く買収し、会社を分解してそれぞれを売って利益を得るもので、それゆえに、「ハゲタカ」と呼ばれていました。

映画「プリティー・ウーマン」でリチャード・ギアが演じた青年実業家がその仕事をしていて、あの映画ではハイエナと呼ばれていましたが、いずれも死臭を敏感に嗅ぎ分けることからそう呼ばれていました。

最近日本に上陸している多くのアメリカのファンド会社がそうですね。


ドラマの後半では、大空電気という、日本屈指の技術を持った企業の再生に際して、鷲津は従来の仕事とは一線を画し、大空電気存続の方向で画策し、本社の意に反したのでファイアー(首切り)されます。

その鷲津の心の変化が救いで、最後にはかつて銀行員時代の上司で、この数年仕事上敵対していた柴田恭平演じる芝野と手を組んで、大空電気創業者の精神を守り抜きます。

そこで行われた、EBO。エンプロイヤー・バイ・アウト。

従業員による企業買収です。

こういう手法を私は初めて知りましたが、ここで苦笑を感じたのは、これがもっと日本で行われたいたならば、もっと多くの日本企業を守ることができたのに・・・ という思いでした。


不二家の不祥事により、銀座の本社ビルは売却されました。

数寄屋橋に近い位置で、銀座の住所であっても銀座というよりは数寄屋橋と認識してしまう場所ですが、銀座4丁目という住所に、大きな魅力を感じます。あれほどの場所はそう売りに出されるものではありません。

しかし買収を希望した企業のうち、2/3が外資企業だったといいます。それが現在の日本の経済の実情なのです。

日本の大手企業でさえも、その株の大部分を外資ファンドが所有しています。日興証券のように、何か問題が発覚し経営が傾くと、すぐに外資が買収に乗り出します。

それが現在の日本経済なのです。


私は個人的にこの状態に我慢ならないものがあり、なんとか日本企業を日本人の手で守り抜きたいと思っています。その為にお役に立てることがあれば是非したいと考えています。


ドラマ『ハゲタカ』を見て、様々な感想があることでしょう。しかしこのドラマから、日本が今どのような状態に置かれ、外資ファンドは何を考え、日本人がどのような方向に向かって何を守り、何を諦めてよいのか、みんなが考える契機になればよいと思っています。

私自身はとても考えるものがあり、録画したものをもう一度最初から見直して、よく考えてみたいと思っています。


そして同時に、ストーリーにばかり夢中になって見落としてしまった先生の作品を、ドラマ中よりもう一度探して、よく拝見したいと思います。

録画している方は是非ご覧になってみて下さい。第1話で宇崎竜堂の衣装として着用されていたハッピと、2話以降、ファンド会社ホライズンのofficeに掲示されていた油絵が、臼木英之画伯の作品です。