先月21日、札幌で、市内のドラッグストア前につながれていたフレンチブルドッグを盗み、発覚を恐れてマンションベランダから投げ落として殺した罪で、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡された事件がありました。


この判決の根拠がワンちゃんの命を奪ったことにあるのか、被告のあまりに残忍な行為に対するものなのか、この事件に関しての詳細はよくわかりませんが、6年前、日本で初めて、ワンちゃんを盗んだ罪で立件された事件があるのをご存知でしょうか?



5年前の5月のある日、朝日新聞の「青鉛筆」の欄に、こんな記事がありました。

連続ひったくり事件を起こして立件された犯人の罪状の一つに、昨年12月にヨークシャーテリアを盗んだ罪もあり、犬も財物と見なして、日本で初めて犬を盗んだ罪で立件

というものでした。


このヨークシャーテリア、実は我が家のプッチーくんなのですわんわんあせる






事件は前年の12月の夜8時頃、JRの線路沿いに自転車で走っていた母の背後から、バイクで近付いた男性が、自転車の前カゴに入っていたバスケットを持ち去った、ひったくり事件でした。

本当に一瞬のことで、知人が近寄ってきたかのようにすーっと極自然に背後から忍び寄ったので、全く逃げようがなかったそうです。


もしそのバスケットの中に入っていたものが、お財布とかであったなら、それはそれで充分慌てますが、それよりももっと大切なプーちゃんですから、母は動揺し、


  「返してーーー!!


と叫んびながら自転車で追い掛けてもバイクに追いつくはずもなく、すぐに見失ってしまったそうですガックリ


すぐに自宅にいた私に連絡してきた母は大変動揺しており、「プーちゃんが盗られたの」と言われてもすぐに理解できませんでしたが、私もすっ飛んで行きました走る人

すぐに母と一緒にパトカーに乗り込んで一緒に捜索し、普段ならば“パトカーに乗っちゃった音譜”と、滅多にない経験にワクワクするのでしょうけれど、そんなことを思うゆとりもなく、プーちゃんと一緒にバスケットにお財布も入っていたので、パトカーの中でカード会社に電話を次々掛け捲りました。

近隣警察三署でも同時に緊急配備を敷いて、検問も行われました。


  2時間くらい捜索したでしょうか。


バスケットから顔だけ出しているプーちゃんを路上に発見した方から自宅にご連絡を頂き、無事保護することができましたほっ


不思議と・・・、私は捜索中も「もうプーちゃんがいなくなってしまう」という不安を感じることもなく、起こっている出来事が現実と思えないまま時間が過ぎたのですが、母はずっと警察の方に


「ワンちゃんだからと思わないで下さい。

 私にはお財布以上に大切な、一番大切な存在なんです。

 家族なんです。

 犯人はお金目当てでしょうから、犬なんかいらないと捨てられていたら

 この寒い季節、寒さで衰弱してしまいます。

 早く見付けてあげて下さい。お願いいたします。」


と・・・、ずっと叫んでました。



プーちゃんを無事保護してから、警察で事情聴取や、盗難物の鑑識調査に協力し、その中で、プーちゃんも“盗難物”として鑑識写真に収まりました。

ちゃんとポーズを取っちゃうプーちゃんに、鑑識の方も微笑んでいました。



あれから5年、プーちゃんにはそのときの詳細を聞くことはできませんが、新聞には、

『犯人はバッグだと思って盗ったら、中から「ワン!しっぽフリフリ」と声がしたので、驚いて捨てた』

とありましたが、プーちゃんは犯人をどんな目で見たのでしょうか。


犬は家畜並みの扱いだった日本でも、プーちゃんの盗難はペットを財物と見なし、そのファミリーにとって掛け替えのない存在であることを司法の場でも認識するようになった、最初の事件でした。

それでも物扱いなので、被害届に当たって、時価相当の価格を提示しなければなりません。これには困りました。お金には代えられない価値がありますので。


ペットについての警察、司法における価値が上がったことは有難いことですが、自分ではどうしようもない小さな身体の子にとって、被害に遭うことは大きな心の傷にもなるので、このような事件は極力ないことを願います。


プーちゃんはお蔭様で来月元気に16歳を迎えようとしています。