スノードロップというお花があるのをご存じですか?
茎がすーっと伸びて、一輪だけ、雪の一雫(ひとしずく)のようなお花をつける、2~3月の冬の花です。
実は私も、つい最近まで知りませんでした。
寒さに非常に強く、雪の中でも気丈な純白の花がヨーロッパでは古くから非常に親しまれ、カトリックの教会では2月2日の「キャンドルマス(聖燭祭)」という行事でスノードロップを捧げる習わしがあるそうです。
日本ではこれを「雪待草」といい、フランスでは「雪を貢ぐもの」「冬の求婚者」、イタリアは「初物」、ドイツは「クロウタ ドリの花」「小さな雪の鐘」、オランダは「白いスミレ」、スペインでは「小さな白い鐘」。
そして、聖母マリアに捧げられたことから「マリアの花」とも呼ばれています。
日中はこの花が開いて緑色の斑の入った花弁が顔を覗かせます。花が開いているのは日中だけで日が落ちて朝がくるまでは花は閉じてつぼみの状態に戻ります。
とても神秘的というか、可憐で美しいお花です。
このスノードロップにはいくつかの伝説があり、物語にも登場します。
それがとても面白いので、ご紹介しますね。
スノードロップが誕生したのはアダムとイヴが楽園を追放された後の最初の冬だといわれています。
神に背いて禁断の果実を口にしたアダムとイブは、目が見えるようになり、何もまとっていないことを恥ずかしく思いイチジクの葉っぱで身体を隠したいう伝説は認知されていますが、同様に、ヨーロッパで認知されている、アダムとイブにまつわる花が、スノードロップです。
<天使の贈り物>の伝説
アダムとイブがエデンの園から追放された時、外の世界は雪が降りしきり、イブは永遠に続くかと思われる冬に絶望して泣きじゃくっていました。
天使は「必ず、あたたかい春がやって来ます。絶望してはいけません」とイブを慰めてひとひらの雪に息を吹きかけると、それは地に落ちて春の兆しのスノードロップとなり、そして≪希望≫が生まれました。
イブはそれを胸に抱き留めて喜びました。この花は冬の呪文を解き破っただけでなく、神の慈悲の証も運んできたからでした。
ここから、スノードロップは慰めと約束を意味するようになりました。
次回、他の国の伝説をお伝えします。