暮れの新聞の整理をしていて、こんな記事を見付けました。
タス通信によると、戦前に対日諜報活動を指揮した旧ソ連の大物スパイ、ボリス・グドゥジ氏が12月27日、104歳で死去したと。
目を引いたのは、このボリス・グドゥジ氏が、ゾルゲの元上司であったということ。
ゾルゲといっても、このBlogを読んで下さる若い方々には意味不明だと思いますが。(注:私も若いのよ!)
リヒャルト・ゾルゲ
ドイツ人鉱山技師と、ロシア人女性の間に生まれたドイツ人で、ドイツの有力新聞社「フランクフルター・ツァイトゥング」紙の新聞記者という隠れ蓑を得て戦前に活躍した有名なソ連スパイでした。
戦前の日本に来日し、日本軍がソ連侵攻には消極的である情報を得て本国に打電したことで、ソ連は戦力を日本サイドからドイツ軍撃退に移し、戦局が一変するなど、重要な役割を果たしていました。
1941年、ゾルゲは逮捕され、死刑宣告を受けて44年処刑されます。
ゾルゲがドイツ人であったことや、スターリンさえもどゾルゲを二重スパイではないかと疑うなど、ゾルゲの仕事ぶりは巧みで、また情報も正確なものであり、当時ゾルゲ事件は大変大きな話題となったと聞いています。
以前聞いた話では、ゾルゲの父方のおじは、社会主義の祖であるマルクスの秘書を務めていたといいます。
ゾルゲについては、スターリン時代にはソ連もその存在を否定していたそうですが(スターリンがゾルゲの情報を無視して初期の対独政策を誤ったことから、それを隠すためと推測)、フルシチョフルの時代に入って、ようやくゾルゲがソ連のスパイであったことを認めます。
子供ながらに、ゾルゲの顔の怖さと、日本を騒然とさせたスパイ事件として、家族から聞いて記憶していましたが、そのゾルゲの元上司がつい最近まで存命していたことに、驚きを感じます。
しかし同時に、また時代が過ぎて、一つ歴史の証人が消えたことを感じます。
