X'mas ⑧ サンタクロース

  ~サンタクロースって本当にいるの?~




真っ白なひげに真っ赤な服。
恰幅のいい姿でいつも幸せそうな笑顔。
そんな姿をしたサンタクロースは、誰もが知っている愛すべき存在。

サンタクロースは実在の人物です。

モデルは、3~4世紀にリキュア(現トルコ)のミュラの司教だった聖ニコラウスです。
ニコラウスは慈悲深く、多くの貧しい人を助けたと伝えられています。

ある日、聖ニコラウスは、貧しい3人の娘が住む家の暖炉にこっそりと金貨を投げ込んで、幸せな結婚をさせたという話が、特に有名です。サンタクロースが、煙突から入って、暖炉のそばの靴下にプレゼントを入れるという言い伝えは、ここから生まれたようです。

ニコラウスの伝説は各国に広がり、3人の娘の話がもとになって、ニコラウスの祝日である12月6日に、子どもに贈り物をする習慣が生まれました。ドイツ、オランダ、スイスを始め、ドイツ語圏の国々では、子どもたちへのプレゼントは、いまでもクリスマス・イブではなく、12月6日です。


ちなみにサンタクロースとは、聖ニコラウスを表わすオランダ語「シンタクロース」が、アメリカに渡ってさらに訛ったものだそうです。




さて一方、北欧には帽子に長靴、ソリに乗った姿の「贈り物をしてくれる妖精」がいたと想像されていました。
今年のHalloweenに愛犬のプッチーは妖精の扮装をしました。
こんな感じですね。

この妖精と聖ニコラウスのイメージが混ざり合って今日のサンタクロースが誕生したというわけです。サンタさんが赤い服を着ているということを世界的に広めたのは、コカ・コーラ社だという話はあまりにも有名ですね。

ところが・・・

サンタの装束は、悪魔の衣装だった?!


サンタクロースといえば、赤いとんがり帽子に赤い服という派手ないでたちをした白いひげのおじいさんとして親しまれています。

しかし赤いとんがり帽子を始め、まっ赤な姿は、昔から悪魔のイメージとして民衆に定着していました。



ニコラウス司教の肖像画は、ミトラと呼ばれる司教冠(教皇がミサなどのときにかぶる丈の長い帽子)とミサで着る祭服姿です。


ではなぜ、ニコラウスがモデルのサンタクロースが、赤づくめの悪魔の姿になってしまったのでしょうか。


聖ニコラウスの日には、ミトラ(司教冠)に祭服という赤い司教の正装に扮したニコラウス役の男性と、赤い装束に身を包んだ悪魔役の若者が一組になって、二人とも大きな袋を担いで家々を回ります。

ニコラウス役はプレゼント入り。悪魔役のはカラ袋です。


良い子には、ニコラウスが自分の袋からプレゼントを出して与えますが、悪い子には、悪魔が、カラの袋に放り込んで地獄へ連れて行くと脅します。来年は、きっと両親の言いつけを守ってよい子になると約束し、贈り物をもらって、めでたし、めでたしということになります。


プロテスタント教会が主流を占めるアメリカに、サンタクロースの習慣が入ったとき、まずカトリックの司教の衣装がなくなり、かわりに悪魔の赤い装束が、サンタクロースの衣装に変わったようです。若いアメリカ社会では、ヨーロッパの悪魔の古いイメージはなかったのでしょう。

事実、アメリカの影響が薄いヨーロッパの国、たとえばイタリアには、サンタクロースの習慣はありません。イタリアでは、プレゼントをもらうのは、羊飼いが幼子イエスをあがめにやってきたとされるキリスト公現祭の1月6日。贈り物を持ってくるのは、ほうきにまたがった、べファーナという名の老婆です。




18世紀のイギリスの作家スコットの『アイヴァンホー』の中で、「盗賊の神様聖ニコラウス」という一節があります。

調べてみたところ、聖ニコラウスは盗賊、船員の守護神でもあるようです。ロシアの守護聖人でもあります。