月月に月見る月は多けれど

月見る月はこの月の月


      読み人知らず









私の家はイベントが多くて、子供の頃には大変楽しかった思い出があります。思い出深いものの中に<十五夜>があり、毎年行っています。



日本では古くから旧暦8月15日の夜にお月見することを、<十五夜>と呼んできました。


今年の<十五夜>は一昨日6日で、生憎の台風で月を愛でることはできませんでした。



旧暦で8月15日にお月見が行われたのは、日本で古来用いていた「旧暦」が月の動きを基に定めらたもので、「秋の真ん中の月」を意味する『旧暦8月』の、「月の真ん中の日」を意味する『15日』、正に秋の真ん中の日を意味する『中秋』の満月だからで、この季節は収穫の季節でもあり、お月見は元々農作物収穫を「月」に感謝する儀式でした。


行事として有名なのは、京都で唯一今日に公家屋敷を残している冷泉家の『中秋の儀式』で、冷泉家では「角盥(つのだらい)」と呼ばれる、洗顔のときに用いたたらいに水を満たし、そこに映る月を愛でて歌を詠みます。




           「水盥」



我が家はもっと一般的に、お供えの主役に満月に見立てた月見団子、里芋や他の旬の作物と、秋の七草などを飾ります。



     



「秋の七草」については9月17日のページをご参照下さい。⇒http://ameblo.jp/marqulse/day-20060917.html




食いしん坊の私にはお食事タイムが一番の楽しみです。

<十五夜>の夜はゆで卵を月に見立てた「ポーチドエッグ」


 



お隣にはゆで卵のウサギが、きゅうりの舟に乗っています。例年ならこのウサギの下に、春雨を揚げて作った雲海がありますが、今年はなんか省略されてました。子供の頃にはウサギにちゃんと目とお耳があったんですが、大人になるとそれもなくなっちゃいました(笑) 

Blogを始めて最初のお月見で、我が家のお月見をご紹介できるのを楽しみにしていたのですが、今年は生憎の台風で月を愛でることはできず、拍子抜けしてしまったのでお料理は簡単だったし、写真はピンボケで、予告したわりに申し訳ありませんあせる



お菓子は虎屋の『月下の宴』と『うさぎのお饅頭』




写真を撮ったらピンボケしていたので、虎屋のHPより拝借致しました。



こうして我が家の<十五夜>の夜は更けていきます。



子供の頃にはただ楽しいだけの折々の行事だったのですが、その意味や目的を知るにつれ、日本の文化の深さを知り、豊かな感性を感じます。


私の塾では、<七夕>には全員で短冊に願い事を書きますが、最初の年に、ある高1の女生徒が、「子供じゃないからこんなのやらない」と言ったので、<七夕>の意味を説明しました。考えてみれば、武技の上達や恋の成就は子供は願わないのです。


日本の伝統的な行事は子供の間でしか継承されなくなってきていますが、自分たちの生きる国で先人たちが行ってきたことを継承することは、日本人の心を知ることで、大切にしていきたいと思っています。


一日経た昨夜でも、月はとても綺麗に輝いて、門灯を消した真っ暗な庭内を月明かりが照らしていました。

どうぞ今夜夜空を見上げて頂けたらと思います。そういえば去年の中秋には、佐賀にいる知人と、遠く離れた場所にありながら同じ月を眺めて携帯で語り合っていましたお月見




来月3日は<十三夜>と呼ばれ、同じくお月見の儀式を行ってきた晩秋の日です。