15年ぶりくらいにトールキンの指輪物語の第1部『旅の仲間』の上1巻を読みました。

 

 

 

 

 『旅の仲間』はまだモルドールの暗い影がひろがりつつあるという段階なので、指輪物語全体の中では明るいトーンのお話が多いです。第1章の「待ちに待った誕生祝い」などはホビットたちの愉快な誕生パーティーの様子が描かれていて、コメディの要素も強く楽しく読めると思います。

 

 印象に残った人物はホビットの農家、マゴットじいさん。家族とともに実直に暮らすマゴットじいさんの家は明るさに満ちていて、黒の乗り手たちもここへは襲撃してきませんでした。エルフのような特殊な力を持つ種族だけでなく、普通の善良な人々も闇に抵抗する力を持っているという希望を読み取ることができると思います。

 

 それにしても人生って平等じゃないなあと思いました。指輪を拾ったビルボはホビット庄で長らく楽しく暮らしその後は裂け谷でエルフたちと暮らすわけですが、フロドは指輪を破壊するために暗く危険な旅を長期間しなければならなかった訳ですから。トールキンはなぜ、主人公にビルボではなくフロドを据えたのでしょう?

 

 指輪物語は本当によくできていて、これに匹敵するファンタジーはハリー・ポッターくらいではないでしょうか。