(「僕の心にもっとも響く言葉は『ごはん』と『おやつ』です。僕にごはんとおやつを集中させて」と語るビーグル犬まろさんオス10歳)

 

 全国知事会議が8月1日と2日に福井県の福井市で開催されました。その中では子ども・子育て、地方創生、学校教育人材の確保、脱炭素、デジタル社会など様々なものが議題とされたのですが、その中で「人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言」というものもありました。

 その中の一部の表現をめぐって、東京都の小池知事が「人口減と、人口や産業の集中との因果関係が不明確だ」と訴え、さらに「記述は取り除くべきだ」と主張したそうなのです。それで翌日には「(国内で)パイの切り合いをしても発展は望めない。いかに増やすかを議論すべきだ」とあらためて主張したそうです。

 

令和6年全国知事会議 会議資料/全国知事会議/全国知事会 (nga.gr.jp) 

このうちの「議題(4)資料4-2」

3ca58da8d9f296d944b88db7d0af6d32_1.pdf (nga.gr.jp) )

 

 この提言のどこの部分に反論したのかと言うと

現下の人口減少の構造を改めていくためには、①人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく、地方部も大都市部も人口減少傾向に歯止めをかけ、地域における社会減を緩和する対策」の太字部分です。

 

 しかし、この小池知事と言うお方、どうにも政治家としてのセンスがおかしいなあと思えてしまいます。これまで「地方創生が大切」とか政治の世界で散々言われてきたのをご存じないのだろうか?

 

 産業が一極集中するから、他の地方の人間はその集中したところに出てきて職を求めないといけなくなる、だから地方の人口が減っていく。地方の人口が減ればさらに産業が育たない。

 人口や産業の集中地では衣食住教育などすべてにおいてコストが余分にかかり、結婚するのも子育てするのも望めなくなる。では地元にいればよいかと言うとそもそもが働き場所が限られている。たとえば住居費、地方と東京とで地方なら「タダ(実家暮らし)~数万円」というのと、東京なら「十数万円~」というのでは基礎的な生活コストが大違い。

 だから東京のような大都市では地方から若者が流入しても個々が生活に追われて、人が子供を産んで人口が増えることもなく、地方では人口が流出する特に子供を産める若い人が流出するから人口が減っていく。結果として、日本全体として人口が減っていく。

 

 その種の簡単な理屈すら拒否するのだから、ちょっと呆れてしまうのです。

 確かに、物理学のように仮説をたてて方程式をたてて計算してみる、みたいな具合に今現在は人口問題がモデル化されていないかもしれないのですが、でもそれをもって「人口減と、人口や産業の集中との因果関係が不明確だ」というのは、単なる責任逃れとしか思えないのです。ちゃぶ台がえしと言えるかもしれません。そんな物理学みたいな検証をしなくても、少しでも人口問題改善のために政策を進めつつ事態を動かしその都度修正するのが政治というもので、最初の段階で「因果関係が不明確」で切り捨てていくのは「小池話法」とでもいうものでしょう。

 このまま東京都だけが潤沢な予算を独り占めして、目先の教育費無償化とかで隣県との格差を作り出すような政策をしてさらに一極集中をさせようというのはあまりにもおかしい(「教育無償化」にしたところで、学費以外にかかる塾や習い事などの教育費だの沢山かかるから、その部分で「子供ができると生活が苦しい」という人は子供をもつのに二の足を踏むのですが...)。まさに、それこそが「パイを自分勝手に切る」だけとしか思えません。しかし気が付いたらどんどん日本全体のパイが小さくなっていた、というのが現在で、それをいかに増やすのかを議論するのが「一極集中を改めて...」というのが他の知事たちの共通認識だと思うのだけれど。この方だけ、なんだか変な認識をされていて、変な責任逃れに終始されてるようで。ダメだこりゃ。