(「へへへ、僕が人間の言葉をかなり分かっていること、バレちゃいました?」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 一般に、犬は人間の言葉を理解するということは知られています。

 「お手」「お座り」「ハウス」、こんなしつけの言葉を覚え込ませることができるのだから、少なくとも「単語」レベルの言葉を理解することは明らかです。しつけの一環として、持ってきてもらいたいものの名前を犬に向かって言うと、それを持ってくる犬がいる、というのは時々聞く話です。

 

 ビーグル犬まろさんには話しかけながらお散歩をすることが多いので、もう少し複雑な「おうちでオヤツ食べようか」みたいなことを言いますが、ちゃんと合点するようで、「うん、そうしよう」とは言わないまでも、ちゃんと真っすぐ家に帰る動きを見せます。

 

 今日は、さらにその上の驚くことがありました。

 開成町のあじさいまつりに行こうかと、昨日、妻と話していたのですが、それを妻がビーグル犬まろさんにも「まろも行く?」と訊いたのでした。もちろん、まろさんも連れて行くことは私も同意していました。そうしたら、まろさんは何を言われたか気が付いたように尻尾をプルプルプルと小さく震わせ、なんだか嬉しそうになったようなのでした。

 今日は起きるのが遅くて家を出るのが遅れたのと、あまりにも天気が晴れ晴れとして気温も「7月並み」ということなので、行ったとしてもなにかとまろさんが熱中症になってしまわないかとか、道路が熱くなってしまって足の裏を火傷してしまうのではないかとか、駐車場に入れられなくなってしまうのではないかとか、入れられたとしても便利なところとは遠くの方の駐車場でまろさんをあじさいの方まで連れてくるのも大変だとか色々と考えてしまって、とりあえず今日は、やめにしておこうということにしたのでした。

 それで今日は普通に近所で買い物をする、と。

 

 今日、ビーグル犬まろさんは、外出の準備を始めた私たちを見て、私達が外出すること、しかしまろさんは連れて行かないことを即座に理解したようで、なんとも悲しい遠吠えを始めたのでした。普段は遠吠えなんてしません。それが前日の妻の「...行く?」と言う言葉で、相当、期待していたらしいのです。それが裏ぎられた、と。

 ゥオーーーーン、ゥオーーーー、ウーーーー、ォオーーーー...(裏切られた―、悔しいよー)

 

 そこで、傷心のまろさんには今日は暑いからいかないこと、別の日に行くこと、今日は単に近所にお買い物するだけのことを説明したのでした。

 そうしたら、ちゃんと遠吠えがおさまって、普通に買い物を待つ様子になりました。

 

 買い物を済まして家に帰ってから、「ただいま」と言うと、

 クウーン、クーン

 といつものように出迎えの声で、いつものようにおやつをあげると黙りました。これはいつものことです。

 

 整理すると、

*前日にまろさんに「明日、どこかに行く」というのを伝えたら理解して期待した。

*当日にまろさんは諸般の事情で連れていかれないことを理解し悲しんだ。

*ただし、当日に行くのは普段の近所の買い物であって当初の目的地ではないことを理解した。

 

 私にとってはビーグル犬まろさんの行動を観察していて上のように思えるのです。「飼い主のひいき目」というのもあるかもしれませんが、しかしそのように思えばつじつまが最もよく合うし、ちゃんと自分の家の犬と意思疎通できてるなというのを実感するのは、犬と一緒に暮らす醍醐味だなと思います。