(「私はクンクンと匂い嗅ぎのためにいつも頭を下げているのが基本姿勢です」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 日本航空に安全にかかわるトラブルが連続して起きていることに関して、国土交通省が5月27日に日本航空の代表取締役社長執行役員グループCEOである鳥取三津子さんを呼びつけて厳重注意した...

 ...と、ここまでは滑走路への誤侵入や駐機場で2機の航空機の翼が接触とか他にも何件も危険な事態が起きていたので、当たり前だろう、とは思います。

 でも、そのときの社長の「謝罪」の仕方が、私にはもの凄く問題があったように思えます。国交省の平岡成哲航空局長に対して、鳥取社長が90度のお辞儀。連結で4万人近くの従業員、単独で1万人を超える大企業の社長が、日本の代表的航空会社の一つの大企業の社長が、そんな謝罪の仕方をするものだろうか。断じて、ああいう謝罪の仕方はしてはいけないと思うのです。なんなんだ、90度のお辞儀とは。CA(キャビン・アテンダント、昔風に言うとスチュワーデス、砕けて言うとスッチー)がカスハラにあって仕方なく言葉の通じないアホ客に90度のお辞儀をして形式上「謝罪」して面従腹背ながらもなんとか丸くことをおさめようとするのとは違うだろうと思うのです。そういえば、この方、CA出身だそうで。さぞかし後輩のマナー研修でもお辞儀の仕方とか教え込んできたのでしょう。

 

 「ひろゆき」さん(西村博之氏(47))なんかはそのお辞儀写真を指して「右の女性は新人OLでもなくて、日本航空の鳥取三津子社長です。国交省のお役人様と民間人の上下関係がよくわかる写真ですね」なんて言ってるのですが、「上下関係」どころではないと思います。

 

 一体、この方、日航の社長たる鳥取さんと言う方、「人間の尊厳」というものをどう考えているのだろうか?とおおいに疑問に思えるのです。ああやってお辞儀してれば嵐は過ぎ去るからそんな屈辱的な姿勢でもいいやってことでしょうか。でも、そんなのは大企業の社長がするべき行動ではないと思うのです。あんなやり方で「謝罪」した先には「人間の尊厳を無視する企業」という姿勢が見えているような気がして、日本航空とは何のかかわりもない私でも、非常に胸糞が悪くなりました。

 

 まして、もしも私が日本航空の社員だったとしたら、社長のあの態度が情けなくて一挙にやる気をそがれてしまいます。もしも私が社員なら、転職まで考えると思います。少なくとも、自分が属する企業に誇りを持てなくなる。もしかして、この鳥取さんが社長に就任したので社内の士気が低下してもしくはどこかのタガが外れて相次ぐトラブルが起きた遠因ではないかと勘繰ってもしまいます

 「女性活用」とか「女性の活躍」とか言うけれども、こんな謝罪の仕方をしてしまっては、そんなことにだって悪影響を与えかねないと思うのです。「女性だから、CA出身だから、あそこまで、90度のお辞儀をして謝罪している」とかいうことになると、「しょせん、女性は偉くなっても、大企業の社長になっても、立場が上のお役人男性には屈辱的なほどにヘイコラせざるを得ない」とかいう誤ったメッセージまで送ってしまいます。そんなんで良いんでしょうかね?

 或いはドラマの「半沢直樹」なんかでは男性悪役があれほど大げさに「謝罪」に(「土下座」ではあっても)心的抵抗を示したのに、女性の社長なら「90度のお辞儀」という屈辱的な姿勢を見せても心理的に全く抵抗ない、だから一般的に女性は男性よりも下なんだよ、下にいるべき存在なんだよ、なんていう誤ったメッセージを送りかねないのです。

 

 さて、これがオジサン社長だったらどうか?

 出っ張った腹に引っ掛かってとてもとても90度のお辞儀にはならないでしょうね。もっとずっと浅いお辞儀、一応、頭を下げるという。でも、本来そんなもので良いのです、本当に事態が改善するのであれば。本来は、そっちの方が大切。私が国交省の平岡成哲航空局長の立場で、男性でも女性でもどっちでも、社長に90度のお辞儀をされた日には「こいつ、俺のことバカにしてるのか?頭下げればいいと思ってるのか?」と思いますし、「そんな人を小ばかにしたようなバカ丁寧なお辞儀よりは、よっぽど事態を確実に改善する方が大切なんだがな、この90度のお辞儀をされた側の居心地の悪さを分かってて、わざとやってるとしたら、相当腹黒い人なんだろうな」と思えてしまうかもしれません。やりすぎは逆効果。