(「上を向いて歩こう!」と常に前向きなビーグル犬まろさんオス9歳 いつも下向いて地面の臭いをかぎながら歩いてばかりですけれど)

 

 日米両政府が4月10日に、有人月探査計画「アルテミス計画」で将来、日本人宇宙飛行士が月面着陸することに合意しました。早ければ日本人宇宙飛行士は2028年に月に降り立つそうです。

 この計画の名称がなんで「アルテミス計画」なのかというと、ギリシャ神話に出てくる「月の女神のアルテミス」からです。実はこのアルテミスという名前、私がもう40年くらい前に迷子のビーグル犬を飼おうと思ったときに最初につけようとした名前なのでした。アルテミスは「狩の女神」でもあるので、猟犬であるビーグル犬にふさわしいと思ったのでした。だから、なんとなく私には「懐かしい」感じがする名前です。結局、「アルテミス」と言う名前は長すぎるという母の意見を聞いて、「イヴ」という名前をつけて飼ったのでしたが。

 

 私が小学生の頃にアポロ計画のアポロ11号で1969年に最初の有人月着陸がなされたのですが、そのときの中継画像や西山千さんが同時通訳したこともとても印象深く思い出します。

 私はその後、オーバードクター生活を終えてシンクタンクに就職したのですが、そのときに少々無理を言ってNASDA(宇宙開発事業団、現JAXA)が応募した宇宙飛行士試験に挑戦させていただきました。会社としても受かる可能性が少ないとみてOKしてくれたのだと思います。その募集の回の合格者が先日JAXAを退職された若田光一さんでした。

 

 その試験のときに思ったのが、正直な話、宇宙飛行士と言いながらも地球と宇宙ステーションの間を行き来するくらいなんだよなあ...ということでした。「金がかかりすぎるから」ということで終わりになった(と私は記憶してますが)アポロ計画、つまり地球と月の間が約38万㎞離れているのを往復した宇宙飛行から、地表から約400㎞を周回する宇宙ステーションの宇宙飛行への転換というのは、「金がない」のは分かるけども、かなり差があるように思えたのでした。地球の半径が約6400㎞、その上の400㎞というのと、半径の約60倍程度も離れた月への飛行。子供の頃にはE.E.スミスの「スカイラーク号」「レンズマン」のシリーズ等で宇宙を駆けめぐるようなスペースオペラを喜んで読んでいた私としては、「現実は厳しい」と思えたのでした。

 

 これまでの宇宙ステーションでの活動は、たとえば半径6.8㎝のみかんがあったとして、身の部分が6.4㎝、皮の厚さが4㎜、その皮の上を通っているようなものだから、これが月になると3.8m先まで伸びるわけです。これならなんとなく、十分、地球から離れて「宇宙」という感じがします。

 そうしたこともあって、日本人が月に行くのはいつになるのだろうと、ずっと心待ちにしておりました。

 今回、そうしたアメリカ主導のアルテミス計画による月着陸計画がまた出てきたということで心躍る思いがします。

 

 ただ、たとえば地球の近くの火星まで行くにしても地球と火星の距離が最接近したとしてもだいたい6千万㎞、遠い時にはだいたい4億㎞という距離ですから、それを上のみかんのスケールに当てはめると火星は近ければおよそ600m先、遠ければおよそ4㎞先ということになるわけですね。

 そうなると火星に行くまでの時間も年単位になります。

 さらにもっと遠くの太陽系外の星なんてことになると、一番近い星プロキシマ・ケンタウリまで光の速度でも4.2年はかかるそうですから、現実に生きた人間がそんな恒星間の意味ある航行をするためには、遅ければ途中で寿命尽きて死んでしまうし、速くても帰ってきたらなおさら浦島太郎になってしまうから、とにかく光速度に近いような速度でないととてもだめだろうし、そんな風に宇宙船を加減速するようなエネルギーと技術を考えると、まだまだ今の科学技術では足りない気がします。昔読んでいたE.E.スミスの世界はまだまだ遠い。

 

 とはいえ、いよいよ1972年のアポロ17号から半世紀以上のときを隔てて再び有人月探査、地球から遠く離れた環境への冒険に日本人も加わるというのはとても嬉しいニュースです。