(「僕はごまかしなし、正真正銘ビーグル犬100%、悪魔ではないのでいつも正直に生きてます」とビーグル犬まろさんオス9歳)
少子化対策の財源として、公的な医療保険料に上乗せして支援金を徴収する制度...以前、岸田首相はそもそもが「負担は増えません」と言っていたような気がしますが、間違っていましたっけ?
それが今年の2月頃には「月額500円」と言い出し、さらに昨日、4月9日には「年収600万円なら月額1000円」等とこども家庭庁が試算を公表するにつけ、その額がまた大きくなったように感じます。まるでゲーテの「ファウスト」の一節を思い出します。悪魔のメフィストフェレスがファウストの前に、まず最初は黒いむく犬として登場し、それが部屋の中で変身する場面です。どんどん大きくなる...
あの尨犬(むくいぬ)は幅も広がり丈も伸びる。
勢好く起き上がって来る。
あれは狗の姿ではない。
己はなんと云う化物を内へ連れて来たのだろう。
もう火のような目、恐ろしい歯並(はなみ)をした
河馬(かば)のように見える。
はあ。もうお主は己の手の裏(うち)の物だ。
お主のような、半ば地獄に産み出されたものには、
クラウィクラ・サロモニスの呪が好(よ)い。
...
(「ファウスト」 作:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 訳:森鴎外)
この負担額の増加、本当にウソ臭い。単なる増税で本当は何に使われるのか分かったものではない、とも思えてしまいます。
さらにウソ臭いのが、試算額の見せ方。
「年収」に対して比較するべきは、「年間での負担」、これ当たり前。
しかるに「年収」に対して「月額」とか言い出す。おかしいです。普通、報告書を書くとしたらこういう比較の仕方はダメです、やり直しです。比較すべきものを同じ土俵で比較していない。「年収」に対して「年間の負担金」を比較対照するのが世の中の常識のはずです。でも、「月額にした方が少なく見えるから」という理由かどうか知りませんが、ウソ臭い、いじましい細工をするのはみっともない。もしかしたら「月額とボーナスは別」とかってマジック?いやまさかね...
<被用者保険の被保険者1人当たりの負担額(月額)>
年収 2026年度 2027年度 2028年度
200万円 200円 250円 350円
400万円 400円 550円 650円
600万円 600円 800円 1000円
800万円 800円 1050円 1350円
1000万円 1000円 1350円 1650円
上が報道されているもの。これを単純に12倍して年額に直すと下のようになります。
<被用者保険の被保険者1人当たりの負担額(年額(年収比))>
年収 2026年度 2027年度 2028年度
200万円 2400円(0.12%) 3000円(0.15%) 4200円(0.21%)
400万円 4800円(0.12%) 6600円(0.17%) 7800円(0.20%)
600万円 7200円(0.12%) 9600円(0.16%) 12000円(0.20%)
800万円 9600円(0.12%) 12600円(0.16%) 16200円(0.20%)
1000万円 12000円(0.12%) 16200円(0.16%) 19800円(0.20%)
こうしてみると、そんなに少ない額でもないわけで。0.2%というのは、「500日働いたうちの1日分は子育て支援金に徴収される」ということです。
「NHKの受信料というものがテレビがあるだけで取られるのはおかしい」と言う意見があって、私もそう思うのだけれどその受信料は1年間前払いで衛星契約込みで21,765円、地上契約なら12,276円だから、ほぼNHKの受信料に匹敵するものが一挙に増える、という訳です。
しかも、消費税は1989年に竹下内閣のときに3%で始められ今は10%、この「子育て支援」を名目にした実質的増税もどうせ増加していくんだろうなと思います。本当に、これは悪魔の「むく犬」かもしれないなと思うのです。
さらに、子どもを持つことがなかなか望めない低所得層、たとえば200万円の年収層にも同じ年収比というか少しだけ多いくらいの比率の負担がなされるのだから、なんだかなあと思うのです。今は「年収200万円なら年間4200円か、大したことないかな」ですけどこれが消費税みたいにたとえば3倍に増えていったら元々少ない200万円の中から1万円を超える額を支出するということで、そうそう無視できないかもしれません。結婚もできない、収入も少ない頃の私なら「なんで他人の、結婚できて妻(夫)がいて子供を産む余裕がある人たちのために、独身の自分の少ない収入から勝手に徴収されるんだよ、自分の人生は子供を持つ余裕のある人たちに奉仕し養う人生なのかよ」って、とても嫌な気がしたと思います。今でも嫌な気がします。