(美術館のエントランス横のポスター 「トロルのシラミ取りをする姫」 by テオドール・キッテルセン 1900年)

 

 SOMPO美術館で開催されている「北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」展(2024年3月23日(土)~6月9日(日))に行ってきました。

【北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画】 | SOMPO美術館 (sompo-museum.org)

 

 この展覧会、上の写真にある絵がチラシにも使われており、「この変な絵は何だろう?怪物?」と思わせて興味をひかせます。北欧が本当に「神秘」なのかどうかはさておいて。

 確かに、北欧と言うとトーベ・ヤンソンによるムーミンのお話とかフォンランドの「カレワラ」という民族叙事詩も有名だし、「アナと雪の女王」のアレンデール王国のモデルもノルウェーみたいだし、なんとなく「神秘」も似合いそうです。

 でも北欧と言えば私が直ぐ思い浮かぶのはミュージシャンのABBAとかa-haとかAlan Walkerとか、クラシックならシベリウスとか、或いは自動車のSAABとかVOLVOとか、そしてあの有名な「叫び」の画家のエドヴァルド・ムンクとか、ノーベル賞とか、IKEAとか。あとは、某ITグローバル企業に勤務していたときの同僚のスウェーデン人。背が高くてアメリカでジーンズを買おうとしたらウェストが入らないとなかなか合うサイズが見つからないようでした。そんなに太って見えたわけではないけれど。それから、もう半世紀近く以前に読んだノンフィクションで第二次世界大戦中にノルウェーのフィヨルドにひきこもったドイツ軍艦ティルピッツとそれを撃沈しようとする連合軍の話「戦艦ティルピッツを撃沈せよ!」(レオンス・ペイヤール著)...なにを言いたいかというと北欧は私の中では必ずしも「神秘」、ではないのです。

 

 ではあっても、この展覧会は「北欧の神秘」という。さて、どういうものなんだろうかと見に行ってきました。

 

 展覧会の構成は

序章:神秘の源泉 ー北欧美術の形成

1章:自然の力

2章:魔力の宿る森 ー北欧美術における英雄と妖精

3章:都市 ー現実世界を描く

 となっていました。

 

序章:神秘の源泉 ー北欧美術の形成

 ここでは、北欧の景色を題材にしたり、神話を題材にした絵が展示されています。

 いつも思うのですが、「そういう景色を描けばそういう絵になる」の典型であって、北欧の自然は、こういうものなのかというのがよく分かるような景色の絵がさわやかに心に映ります。私は上高地や乗鞍高原を思い出してしまいました。いや、違うに決まってるんだけど思い出しました。

 

1章:自然の力

 ここでは北欧の自然を題材にした絵が並べられています。

 ここまできてなんとなく思ったのですが、どうもフランスやイギリスの画家がフランスやイギリスの景色を描いた絵と色々と違うように思えるのだけど、一番大きいのは「光」なのかな、と。

 明るい日の光とか、煌めく光、とかいうものがなくて、なんとなく光が弱い、暗っぽい、そんな印象を持ちました。

(「フィヨルドの冬」by エドゥアルド・ムンク 1915年)

 

 たとえばこれはムンクの描いた「フィヨルドの冬」という絵で、やはりなんとなく光が煌めくという感じでもない。この展覧会、おそらく一番有名な画家はやはりこのムンクですが、「叫び」のようなイメージの絵とは違うので「これがムンク?」と思いました。

 

2章:魔力の宿る森 ー北欧美術における英雄と妖精

 ここは妖精とかトロールとか神話だとか、そうした絵が集められています。一番上の「トロルのシラミ取りをする姫」もここにあります。

 キリスト教の絵画、の代わりに北欧の神話の英雄とか妖精とかの絵、なのかどうかわかりませんが、ちょっと幻想的な感じです。

 自然の景色そのもの、でもないにもかからわず、やはりなんとなく暗い色調に囲まれます。

(「山の中の神隠し」 by ガラール・ムンテ 1928年)

 これは中世から伝わる話を題材にしたものらしいのですが、実は私もこんな感じの絵を自作の本棚のふたにして作ったことがあるので、なんとなく懐かしいような気がしてしまいました。プロの画家の絵に対して「こんな感じ」もないものですが。

 

3章:都市 ー現実世界を描く

 ここは都市の景色が描かれています。なんとなく「アナと雪の女王」の中に出てきたような景色もあったりしました。

 やはり、なんとなく暗い...というか明るい太陽の照り返しがない...影が長い...そんな感じの絵が多くて、やはり絵はその場所を表すものだなあと思いました。

 

 この展覧会、もっとも有名なムンクが2点含まれていても「あの『叫び』で有名なムンクもありますよ」なんてことはあまり目立たせず、粛々と北欧の画家の北欧の景色とか神話や妖精を描いた絵が並べられているので、特徴があって面白かったと思います。ご興味を持たれた方は是非。

 

<おまけ>

(マッサージをされるビーグル犬まろさんオス9歳 最初の写真が「トロルのシラミ取りをする姫」だったので...)