(「僕の名前は『まろ』だから略す必要がありません。り?」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 昨日見たニュースで「?」と一瞬思ったものがありました。

 「歌舞伎町のメンコンの経営者らを無許可営業容疑で逮捕」というものでした。1年間で1億円超の売り上げがあったそうです。それで、「?」と思ったのが「メンコン」という言葉。「メンコン」とは「メンズコンセプトカフェ」というもので、本来は男性従業員が「接待行為」、客の隣に座って酒を提供したり談笑したりする営業行為をしない、あくまでもカフェなので対面やカウンター越しに接客するというものだそうです。その掟を破って「営業行為」をしたがゆえに「風俗営業法」からすると「無許可営業」をしてしまったということになり、逮捕されてしまったということらしいです。

 風俗営業法に引っ掛かろうが、私には「大した違いないなあ」としか思えないけど、「メンコン」という言葉の使い方がこんな風に使われるのかというのが単純に面白かったのでした。

 

 私は単なるクラシック音楽ファンですが、メンコンと言うと普通は「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調」と理解しています。10代の頃にレコードで最初に聞いたヤッシャ・ハイフェッツの演奏がもう耳に沁みついてしまって以降に聞いたものは何を聴いても物足りない気がしてしまいますが、その「メンコン」が思わぬ記事でしかも怪しげな風俗的なものとして出てきたのが面白かったのでした。

 チャイコンというと、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。チャイコフスキーはピアノ協奏曲第1番も超有名な曲ですが、どちらかと言うと「チャイコン」というとヴァイオリンの方を指します。このあたりだと間違いないのですが、クラシック音楽では他にも「ブラコン」「ベトコン」あたりもよく目にします。

 「ブラコン」は、クラシック音楽だと「ブラームスのヴァイオリン協奏曲ニ長調」を指すことが圧倒的だと思いますが、世間では「ブラザーコンプレックス」の略を指すことが一般的なような気がします。つまり、「男の兄弟に対する強い愛着」のことですね。他に、音楽のソウルミュージックのジャンルとして「ブラック・コンテンポラリー」があって、ダイアナ・ロス、ホイットニー・ヒューストン、ロバータ・フラック等も代表的なミュージシャンとされています。同じ音楽でも、クラシックとソウルでは指すものが違う。世俗的にはブラザーコンプレックスだと思いますが。

 となると一方の「シスコン」ですが、世間的には「シスターコンプレックス」、つまり「女性の姉妹に対する強い愛着」ですね。私はシスコのコーンフレーク「シスコーン」というのも思い出してしまいます。他に「システムコンポ」も「シスコン」、システムコントローラーも「シスコン」、驚いたことに「住友不動産シスコン」なんて会社があって、不動産に関係したインテリア販売、企画設計等事業をしてるようです。

 「ベトコン」はクラシック音楽だとベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のことを指しますが、世間一般では何といってもベトナム戦争のときの「南ベトナム解放民族戦線」のことを指しますね。シルベスター・スタローンの映画「ランボー」も、ベトナム戦争からの帰還兵の物語でした。愛知県発祥の「ベトコンラーメン」というのもあるようですが、まだまだ全国区ではないような気がします。ちなみに、このベトコンは「食べると元気にベストコンディションに」というのでベトコンだそうです。

 

 ということで、「歌舞伎町のメンコン」という記事で、興味を持つ者が違うと同じ発音や表記でも全然意味が違うものがあるものだ、というのをあらためて思ったのでした。おそらく、メンズコンセプトカフェをメンコンと略した人は、クラシック音楽に全く興味がない人だったんだろうなと想像します。「メンコン」を「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調」と知ってたら、おそらく違和感ありまくりだったでしょうから、「メンコン」とはせずに「メンコカ」とか略したでしょうから。