(おそらく、蓼科のテディベア美術館にて 2012年)

 

 イタリアのトリノでおこなわれた冬季オリンピックのフィギュアスケートで、荒川静香選手がアメリカのサーシャ・コーエン選手やロシアのイリーナ・スルツカヤ選手のような世界の強豪を抑えて金メダルを獲得してから18年。あれは、2006年の2月23日のことだったのでした。あのときのオリンピックは、当時15歳の浅田真央選手が、年齢足らずのために代表になれずに残念、浅田選手が出場できればメダルも夢ではないと言われていましたが、その代わりに荒川選手が日本の女子フィギュアスケート史上初めて、見事に金メダルを獲得した、というのでかなり話題になったものでした。

 

 そのときの演技でなによりも話題になったのが「イナバウアー」という、上体を後ろにそらせながら優雅に滑る技で、スケートで滑るのではなくても真似をしようとした人が続出したのでした。私もスケートはいてではなくて床の上で上体をそっくり返らせてやってみましたが、無理。とてもじゃないけどあんなに後ろにはそらせません。

 あの時の演技に特に印象的に使われた音楽がイタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニの「トゥーランドット」というオペラ作品のなかの「誰も寝てはならぬ」という歌でした。私はクラシック音楽好き、とはいうもののオペラというジャンルの曲はあまり知らかなったので、あの曲を知った時は「なんて良い曲なのか」と思いました。オリンピックの曲はインストルメンタルでしたが、あの後、オペラ全曲のCDを買ってしまいました。ズービン・メータ指揮ロンドンフィルで、ルチアーノ・パヴァロッティが登場人物の「カラフ」の役をテノールで歌っているもの。珍しく妻も反対せず。

 

 あのオリンピックの荒川選手の金メダル、その後の日本のフィギュア・スケート人気に与えた影響も大きかったし、パヴァロッティや他のテノール歌手の歌う「誰も寝てはならぬ」はオペラの中の歌としては珍しく世間でも非常にポピュラーになった、と記憶しています。あれはそんなに昔のことではないような気がしていたのですが、もう18年、月日の経つのは早いものです。

 

 上の写真は、なぜか子供たちが大きなクマのぬいぐるみの中に埋もれています。今日のお題とクマのぬいぐるみは合っていない、というとさにあらず。

 この写真、長野県の蓼科にあるテディベア美術館で写したものだったと思うのですが、その美術館の数ある展示の中に、オリンピックのあったトリノの街のジオラマがあったのでした。だから、トリノオリンピックというと、荒川選手の金メダルと、「誰も寝てはならぬ」と、私的にはむしろ蓼科テディベア美術館が思い浮かぶのです。いや、そうではないですね。「誰も寝てはならぬ」を聴くと、トリノオリンピックと荒川選手の金メダルの演技と、蓼科のテディベア美術館と当時の子供達を思い出す、という方がより正しい。

 

 上の写真に写っている頃からもう12年近くたっているし、また子供とテディベア美術館に一緒に行きたいなあとかスキーにも一緒に行きたいなあと思っていても子供たちはもういい歳して、進歩してないのは親ばかりなりという状態でなんだか寂しいようなものですが、それもまた成長で見守っていくしか仕方ないですね。