(上野公園のパンダ 双子の子供 は大人気、大人は雑に扱われてます。オトナは悲しい。)

 

 今日は市役所に行く用があったので、ついでに上野まで出て何十年かぶり、おそらく三十数年ぶり、もしかしたら40年以上ぶりに上野動物園に行ってきました。上野公園、ずっと行きたいと思っていたのですが、結婚してからはなかなか行く機会もなく、その前も「一人で行く」というのはなかなかに心理的に行きにくく。ただ、カンカンとランランのパンダが上野公園にいた頃には行った記憶があります。随分とパンダ舎だけが立派だったのを覚えています。

 私の記憶の中の上野動物園は、その昔のパンダと、巨大なイリエワニ、西園と東園をつなぐモノレール、不忍池にソフトクリーム。特に、巨大なイリエワニの記憶が凄くありました。現代によみがえった恐竜のような大きさ、ふてぶてしいような態度、襲われたら絶対に生きていられない、絶対に食べられてしまう恐ろしい存在としてのワニ。その記憶があまりにも強烈だったもので...まあ映画の「クロコダイル・ダンディー」の影響もあるにはありますが...私が初めて海外旅行をしようとした最初の場所はオーストラリアで巨大なワニが見られるというツアーでした。ちなみに、「クロコダイル・ダンディー」の「ダンディー Dundee」の発音は「ダン」ではなく「ディー」の部分が強く聞こえますので、お間違えないように。

 

 イリエワニ、いました。上野公園のイリエワニは「フック君」という名前だそうで全長5m程度、来園したのは1966年で推定年齢58だそうです。

 この写真ではあまり巨大に見えないかもしれませんが、本当は巨大なのです。でも...私の記憶の中ではもっともっと巨大だったのでした。だからこそ、オーストラリアでワニを見てみたいとも思えたので。どれくらい巨大かというと、今回見たものより1.5倍は大きかったような印象だったのでした。このワニ君、おそらく私が昔見たやつと同じものです。年齢から言ってもまさにそれ。フック君が5mなら1.5倍は7.5m、イリエワニとしては10mの奴もいるそうですから7.5mでもおかしくはないのですが、なんか思ったよりも小さかった。いや、小さいなんてものではなく確かに巨大で、見ている人々が口々に「大きい!」って言ってたので確かに本当にフック君は大きいのですが、記憶のフィルターがもっと巨大にしてしまったのでした。いかに記憶があてにならないかというのをまざまざと見せつけられるような思いがしました。記憶の中では口がもっとずっと大きかったのでした。

 記憶の中で知らず知らずのうちに「美化」してたんでしょうね。

 

 モノレールがなくなっていたのは寂しかったです。上野動物園と言えば西園と東園をつなぐモノレールが素敵な感じだったので。「形あるものはいつかは滅ぶ」なんて言いますが、まさにこれもそう。その代わりに、シャトルバスが運行していました。園内を通るのではなくて、一旦、外に出てまた園に入る、園の中の西園と東園をつなぐ通路はあくまでも歩道なのでそういうことになるようです。

 モノレールってのは、子どもの頃、なんだか凄く夢のある乗り物のような気がしていました。だから浜松町と羽田空港、江ノ島と大船の間、とかのモノレールは乗るととても嬉しかったものです。電車と違って、吊下がる方式でもレールひとつの方式でも、なんとなく頼りないような、落ちるんじゃないかというスリリングな感じがまた素敵、だったのですが、上野動物園のモノレールがなくなってしまったのは残念。

 

 「上野動物園にライオンがいない」というのを知って、驚きました。上野動物園と言えば東京どころか日本を代表する動物園、のような気がしていたのですが2019年から既に展示を中止して、2019年に既に死亡していたようなのです。その後も特に「補充」ということもなく、上の動物園はライオンのいない動物園になったままです。これもなんだか平家物語の「諸行無常の響きあり」を思い出します。なんだか残念。とはいえ、ライオンにすれば動物園に連れてこられるよりは自然の中で生きていたいのだとは思うのですが。そもそもが、インドライオンでアフリカのライオンではなかったのですね。

 トラはいました。これも「スマトラトラ」でインドネシアのスマトラであって、シベリアとかインドとかではないみたいですが。

 

 パンダは、相変わらずの大人気...なのですが、どうもそれは必ずしも事実ばかりでもないようなのでした。

 赤ちゃんパンダの、双子のパンダは大人気でもの凄ーく長く並ばないとみられないようなのでした。私が行ったときは40分待ちと言われて、「うーん...」と思ったので結局は見ませんでした。「時間によって空く時間がありますか?」と係員の人に訊いたら、「いや、ずっと待ち時間が短くなるなんてことはありませんよ」なんて言われたので、諦めました。おそらく休日はもっとずっと長い間待つことになるのでしょう。

 で、がっかりしたのですが、「お父さんパンダなら直ぐに見えますよ」とも言われました。指示に従ってずっといくと、確かにパンダの入り口が。それでするすると入ってみると、いました、パンダ。で、もう少し先に行って野外にいたパンダが一番上のパンダです。笹を食べていました。

 パンダ、見られたのは良かったのですが、なんだか少し悲しくなりました。「お父さんパンダなら直ぐみられます」って、なんだか雑な扱いみたいに。赤んぼパンダは可愛いから大人気、それは分かります、でもオジサンパンダ・オバサンパンダは大切な存在じゃないのかい、なんだか悲しい。

 でも、そうはいってもパンダはパンダ、写真のはオジサンかオバサンかどっちかですが、やはりパンダは可愛い...というか呑気な雰囲気。オジサンパンダもオバサンパンダも両方見たけど、パンダです。赤ん坊でなくてもパンダ。

 

 家に帰って、ビーグル犬まろさんに会ったら、それでもやはり「我が家族」というのを強く感じました。一緒に住んでるまろさんとはよく目が合うのです。我が相棒よ。でも、動物園の動物って、色々な人に見られているのもあるけれど、基本、目が合いません。そこがものすごく違うところで、他人は他人ですね。まろさんは家族、動物園の動物は可愛いのがいても他人。

 でも久しぶりの上野公園、懐かしかったです。そういえば記憶の中では5-6倍の面積だった気がしたのですが、いや上野動物園は確かに広いのは広いのですが、もっとずっと広かった気がしてました。なかなか記憶って美化しやすいなと言うのを思い知ったのでした。

 

 平日なのもあってか、中国人観光客や金髪の観光客が目立ちました。コロナ明けたんだな、って改めて思うのでした。