(「僕は頭も性格も良い高級ワンコですが、貸し出しはできませんよ」と、ビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 自分の持ち物の高級時計を企業に預けて、その企業から毎月の賃料(預託料)を支払ってもらう、企業はその高級時計を借りたい人に毎月レンタル料を支払ってもらうという、そんな形の「シェアリングサービス」がありました。

 高級時計に限らず、シェアリングサービス自体は、お役所のデジタル庁が推進しているもので、怪しいものではない、とされています。つまり、「売る・貸す」人と「買う・借りる」人とをデジタルのプラットフォームで媒介して遊休資産の活用につなげる、と。

シェアリングエコノミーの推進|デジタル庁 (digital.go.jp)

 

 ところが、合同会社ネオリバース(腕時計シェアリング事業トケマッチ)という高級時計のシェアリングサービスをする会社が、1月末をもって解散するとなったので随分な混乱が起きているようなのです。

法人解散によるトケマッチの今後について - ネオリバース (neoreverse.co.jp)

 

*判明分だけでも腕時計160本、総額4億7千万円相当が返却されていない。

*「解散」以降、貸主からトケマッチと連絡が取れない。

*ネオリバース社が所属し認証を受けていた一般社団法人シェアリングエコノミー協会(一般社団法人シェアリングエコノミー協会 | Sharing Economy Association, Japan (sharing-economy.jp))からもネオリバース社や代表者に連絡が取れない。

*シリアルナンバーが一致する時計がフリマアプリで売りに出されていた。

 

 一応、トケマッチ側は「六か月を目安に返却」と言ってはいるのですが...

 

 政府は「シェアリングエコノミーの推進」などとやっていますが、この件、なかなかに今後に暗い影を落とすことになるのではないかなと思います。

 これ、腕時計だから悪意を持った者が「借りパク」して売ってしまう、なんてことが簡単にできてしまう。それでも政府はシェアリングエコノミーを推進しているし、社団法人も怪しいものではない、というので「投資」と考えて貸してしまった人・企業が多かったんだとは思います。でも腕時計160本で総額4億7千万円ということは平均でも約300万円、そんなものをどこの誰かもわからない人に、たとえその時点で仲介者はしっかりしていそう、という感覚であったとしても、貸すなんてことはなんとまあ世の中にはお金持ちがいるもんだと思います。同時に、今回はなにやら借りパクしてしまった人もいたようなのですが、それとは別に、たとえ借りてでも、自分のものではなくても、高級時計を身につけたいという人がいるというのにも驚きます。

 

 しかしこの件、貸した人は「ちゃんと返ってくるのか不安」もあるけれど借りた人からすると「どうやって返せるのか不安」というのもあるのではないだろうか?借りたはいいが、貸出元のネオリバース社は既になく、といって自分がそのままその高級時計を持っていたとしても、返せないままだったら今後にひょっとして詐取の罪に問われかねない、なんて不安も持つのではないだろうかな、とも思えるのです。

 

 腕時計シェアリング事業については今回、ミソをつけた格好になったので今後はそれに類似した形態の事業は起こされないと思いますが(「宝石シェアリング」とか類似のものはやはりダメだろうと...)、貸主・借主として参加するような可能性のある人は諸々のリスクを考慮しないと危ないなと思う出来事でした。

 もっとも、私にそんな財産ははなっからありませんが、私が仮にもしそんな財産持ってても関わりたくないなと思います。