(「口を開けてもの言いたいこともあっるかと思いますが、ぐっとこらえるのも重要です」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 私が某グローバル企業に勤務していたときに、アメリカ出張がありました。そこで、向こうの同僚と世間話をしたのですが、どういう話のついでか、向こうの人は「トヨタのランドクルーザーはとても信頼できる。レンジローバーより上だ。レンジローバーは"fragile(壊れやすい)"なんだ」と言っていました。私にはレンジローバーはオフロード性能も第一級の高級車という意識があったので、トヨタのランドローバーのが上だと言われると「へえ、そういうものかな」と当時は思ったものでした。もちろん、その人の意見が全てというわけではありませんが、私の個人的な経験ではトヨタはそんなふうに海外からも評価されているんだなと少し誇らしく思えたことも正直ありました。

 しかし、今回、豊田自動織機の「認証不正問題」が明らかになって、それによって影響を受けた、生産を止めた車種の中に「ランドクルーザー」も含まれていたとなると、「ランクルよお前もか、トヨタよお前もか」と思わざるを得ません。がっかりです。

 

 豊田自動織機の、外部有識者による特別調査委員会が29日に明らかにしたところでは不正行為の原因が「不合理な開発スケジュール」「コンプライアンス意識の欠如」「トヨタ自動車頼みの受託体質」が挙げられました。

 翌30日にトヨタ自動車の豊田章男会長が「日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機の相次ぐ不正により、お客様をはじめステークホルダーの皆様にご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」と述べ、また認証不正についてても深く陳謝したのでした。同時に、自分は会長になったのでこれまでは各社の社長に対して遠慮していたが、「責任者ということで、もう一度、グループやトヨタ自動車を見ていきたいと思っている」と言われたのです。

 

 この言葉自体は、確かにご立派な考えを持っておられることに疑いの余地はないのですが、しかし、

 

 不正は豊田氏が社長だった頃に既に起きている

 

 ということで、

 

 「社長が佐藤恒治氏に交代したことで、意見が出やすくなった。だから、不正も指摘され発覚した」という見方もあるのです。

 トップが誰かに交代すると途端にそれまでの不正・悪事等が発覚するようになって、交代した誰かが謝罪する、というのはよくあることだと思うのです。ジャニーズ問題もそうでした。あまりにも権力者だと周囲がなかなか意見が言えなくなる。豊田章男氏は豊田佐吉のひ孫、トヨタの社長は「つなぎ」の社長がつとめる時期があっても、豊田家の人間がつとめるのが本筋、という考え方からするとトヨタ自動車にとっては正真正銘のお坊ちゃまでした。

 そのお坊ちゃまだからこそ、豊田氏が社長在任時代に色々な無理難題を周囲に持ちかけたことがあっても、周囲は「無理です」となかなか意見を言いにくかった、だから結局は不正をしてでもつじつまを合わせざるを得なくなるまでに追い込まれた、という見方もあるのです。

 そんななか、豊田氏がはりきってまたグループ企業にああだこうだ言いだすと、変革なんてなかなか進まなくなるのではないかなと思えてしまうのです。本当にトヨタグループが変革するようにするためには、自らが退いた方が良い、と思えないものかなと思うのです。下手すると、また「ものを言えない、正論を言えない」状況に陥るのではないかな、そんなことでは「変革」が遠のくのではないかな、と心配するのです。