(「なんか怪しいなあ、注意しないとね」と言うビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 岸田文雄首相が本日22日、2025年4月に開幕が予定されている大阪・関西万博について、以下(1)(2)の2点、斎藤健経済産業相と自見英子万博担当相に指示したそうです。

(1)国民の理解につながるよう、万博関連の費用が適正であるかどうかを第三者の目を入れて継続的にチェックする

(2)万博の準備が能登半島地震の被災地が復興する妨げにならないように資材の需要と供給を正確に把握し万博関連の資材調達を計画的に進め、正確な情報提供をする

 

 万博の会場建設費は2017年段階で1250億円、2020年の段階で1850億円、岸田氏が首相になったのは2021年秋です。それから2023年の秋には会場建設費が2350億円ということが言われていたのでした。

 また、パビリオンの費用はその他に360億円と言われています。

 万博の運営費が2020年の段階で809億円、今は1160億円だそうです。一般の警備費はこの中に含まれるけど要人警護でさらに200億円。

 昨年12月にはインフラ整備費が9.7兆円と発表されてもいました。これは万博だけのため、というわけではないとも言われているのではあるのですが万博は結局はIR(統合型リゾート)への露払い的な役割とも言われています。

 

 今さら、「第三者の目を入れて適正性について監視する」って、どういう意味なのでしょうか、これを素直に解釈すれば、「これまでは第三者の目が入っていなくて適正性が監視されてこなかった」という風に受け取れるのです。

 岸田首相が就任されたのは2021年秋、その間に万博の費用について、特に上振れについて、結構国民の驚きと不満が表明されていた筈なのです。昨年の秋でも特に大問題になっていました。

 

 それで2023年の12月には「第三者委員会設置で調整」となっていました。建設や経営のコンサルタント、会計士などが費用の妥当性検証、計画の進捗チェックなどするということになっていたのでした。

 その流れで今回、メンバーが決まってようやく具体化していくということなのだとは思いますが、今頃になってそれを言うかという印象を持ちます。なんだかスピード感がない。そんなところに内閣支持率が上がらない原因の一つがある気がします。

 

 ただ、そもそも一つ驚くべきことというのがある気がします。

 それは、わざわざ指示しなければ「この件に限らず、大きなイベントを立ち上げても第三者委員会で費用の妥当性検証や計画の進捗チェック等がなされてきていない」ということではないかと思うのです。先の東京オリンピックも最終的に費用が大幅に膨らんだにもかかわらず、その妥当性が検証されなかったそうなのです。オリンピックの招致に関しての不正については第三者委員会がむしろ不正の正当化のために使われたという説もあります。

 

 能登半島地震との資材の需要と供給のことに関しても、「それを今さら言うのか?」という気がしてしまいます。もうあの惨事から三週間かかっているのだし、「能登の復興優先」というのも地震直後から国民からは散々言われてきたことなのでした。そういう意見に対して大阪府の吉村知事なんかは「万博と能登復興は二者択一ではない」なんて早々に表明してしまってますし、今後、資材の需要と供給の解析からやはり万博と復興が両立しがたいので万博は中止とか延期とかなったら、大阪府の意見とどう整合をとっていくのでしょう。

 「万博が復興の妨げにならないように」なんて、今さら言うことに呆れます。「二者択一ではないから進めるのみ」なんて勝手に言われる前に、速やかに「万博が復興の妨げにならないように」って言うべきだったのでした。これもなんだかスピード感がない。そんなところに内閣支持率が上がらない原因の一つがある気がします。