(「こんな田んぼが近くにあるような田舎町でも、国際化の波が押し寄せているんです。僕も元はヨーロッパがご先祖です」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 ビーグル犬まろさんと毎日散歩していると、色々な光景を目にします。ビーグル犬まろさんは食べ物が落ちていることが多いからか、近所の公園に行くのが好きです。公園と言っても、一辺が4-50mくらいで遊具が少しだけ、ベンチが幾つか、あとは小さな砂場があるような小さい公園です。大きな桜の木が周囲に10本くらい、大きな銀杏の木が数本、他の木も何本か生えているというくらいのものでしたが、惜しいかな桜の木は「腐食している可能性がある」ということで3-4本を残して切られてしまいました。

 

 そんな公園でもこの頃は外国人の姿を見かけることが増えました。どうやら東南アジアっぽい顔をした若い顔の人たちには朝のお散歩中に時々すれ違います。よく分からない言葉を話しているので外国人に違いありません。おそらく仕事に行く途中です。

 日本人のような顔をした中年女性も、ベンチの上で電話しているのを見かけますが話している声を聞くとはなしに聞いてしまうとやはり何らかの外国語です。

 公園では一応、「球技禁止」なんて書かれていますが、大昔はお年寄りが陣取ってゲートボール、この頃はサッカーの練習をする子供達もいます。まろさんと散歩していると私はともかくまろさんに当てないでくれないかなあと冷やしやしながら通り過ぎるのですが、ボールがこちらに来ないように気を遣っている風でもあります。

 小学生たちが大挙して公園におしかけて走って追いかけっこなどしてることもあります。

 でも、この頃のまろさんとの散歩で圧倒的に目立つのは、どう見てもインド人の子ども達としか思えない、彫りが深い顔立ちで目がギロッとした褐色の肌の子たち、年の頃はおそらく小学校高学年くらい...が、クリケットをしている様子です。

 クリケット用の杭みたいなのを三本(「スタンプ」と言うらしい)地面に立てて、ボートのオールを短くしたようなバットを振って、硬そうなボールを撃ち返したりしています。その三本の杭みたいなのも板で何故かつなげてあって、バットみたいなのも手作りらしいのですが、そういうものを作ってまでもインド人の子たちはクリケットをやりたいのです。その子達、英語でもない外国語らしいものを話したかと思うとはっきりと日本語を話していたりもするので、おそらく日本の小学校にも通っているのではないかなと思うのです。そう言えば、娘たちが通っていた公立の小学校・中学校にも何人も外国人の子弟がいました。

 ちなみに、クリケットの競技人口を調べてみたら日本で3000-4000人程度、世界ではなんと3億人だそうで、野球は日本で約270万人程度、世界では3500万人で、世界の競技人口はクリケットのざっと10分の一。もっともクリケット人口も半分はインドだそうですが。驚くのは少し前に大谷選手の高額年俸が話題になりましたが、クリケットの有名なチームの平均年俸が4億円台だそうです。

 野球はともかく大谷さんがあれだけ話題なのだからイヤでも情報が入ってきますが、インドの子供たちが公園でクリケットをしていなければ、クリケットについては全く知ることのない事実でした。2028年のロサンゼルスオリンピックでクリケットが種目として復活採用でも日本で人気がない限りはマスコミも報じないでしょうから。

 

 ビーグル犬まろさんとの田んぼ沿いのお散歩で、昨日はやはり日本人ではなさそうな東南アジアあたりだろうと思われる顔立ちの人々に出会いました。着ているものに「ハノイ××」と書いてあったし、おそらく彼らはベトナム人ではないかと思うのです。それで、そのベトナム人らしき人達、道路わきのガードレールを越えて川の護岸から3m程度下に降りて、洲になっているところで岸辺の植物を採集していました。私も時々、「あそこに生えている植物はもしかして食べられるのではないか?」と思うことがあるのですが、わざわざ川の水辺に降りてまで採集しようとは思いません。もしかしたら彼らには自然な行動なのかもしれません。まろさんを連れての散歩途中で目が合うと向こうも「なにか問題でも?」という感じでにっこりと見返してくるのです。

 3-4年前に北関東でベトナムからの技能実習生4人が豚を自分たちで解体したというような事件がありましたが、結構、そういう人達の感覚はワイルドなのではないかと思います。いい悪いの問題ではなく感覚がワイルド。

 そういえば昔、タイではトラックの荷台に手でつかまって鈴なりに移動する人たちを見たし、インドでは10mくらいの高い柴の山をトラックの荷台にのせて天辺に人が乗って移動するのも見たし列車の屋根に普通に乗って移動するのも見たし、まあワイルドと思うこともありました。

 

 ビーグル犬まろさんとお散歩していると、田舎町のたった半径1㎞ですら日本がいやがおうでもボーダーレスになり外国人も増えてきたのだなと実感する出来事に巡り会うという話でした。