(「いったい、どうなってるんだね?」と詰め寄り顔のビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 ダイハツの自動車に私は乗ったことがないですが、これまでずっと普通に「信頼できる日本の自動車会社」だと思ってきました。

 だから、今回、ダイハツの数々の不正が明らかになって、調査報告書を読むにつけ、「技術立国 日本」とか「ジャパン アズ ナンバーワン」とか散々言われてきた時代を知っている者としては、非常にショックでした。

 しかもそんな不正の数々は1989年つまり平成元年にまで遡って数えることができるというのです。当時は日本は世界第二位のGDPを誇り、アジアの中での日本のGDPシェアは日本が2/3を占め中国はたった10%だった頃です。それがいまや日本はGDPで中国の四分の一以下に落ち込んで世界経済での存在感も低下しています。

 その途中で日本では「中国の発展なんて、奴ら技術力ないし、どうせデータをごまかして適当なことやっているだけ」みたいな意見も結構、大手を振ってまかり通っていました。

 

「中国には技術がない、日本には技術がある、日本は負けない」だってさ。

 

 でもね、平成元年の頃から日本の主要産業とも言える自動車会社で、名の通った自動車会社が、そんな不正してたんじゃん、と思うと本当に情けない。今の日本の状態、なるべくしてなったのだな、歴史の必然だなと思ってしまいます。

 ダイハツの調査報告書を見ると、以下の三つのカテゴリーの不正があったそうです。

1.不正加工・調整類型 

 試験実施担当者等が車両や実験装置に不正な加工・調整

2.拒否記載類型

 試験成績書作成者等が意図的に虚偽情報記載の試験成績書作成

3.元データ不正操作類型

 試験実施担当者等が試験データを捏造・流用・改竄

 

 報告書を読むと、その原因が情けなくて、

短期開発が当たり前、失敗している時間もない、

上司に相談しても解決策もなく「で、どうするんだ?」と言われるのみ

上司に問題解決能力なし

人を減らし過ぎて過重な負荷がかかっていた

*不正の内部通報があっても監査が動かず現場の室長などに戻され通報の犯人探しが為されるだけ

*協力する文化無し、自分さえ良ければという文化

 

 私に結構印象的だった不正が

「やってないけど、どうせやっても結果は大して変わらないからやったことにしてしまえ」というのと

「衝突試験のエアバッグで自動着火式のものが開発されていなかったので、タイマーで着火させた」というものです。

 前者は「時間もないし人もないし金もないし、正直にやってられるか」という精神が発揮されてしまったもの。確かにまあ予想としては、ほぼ同じ結果が得られるはずだとしても、ウソはいかんでしょう、と思うのです。で、そんな状態に追い込んでしまう会社の上層部。

 後者は、もう「技術がないから報告書の見かけだけととのえて、クリアできたことにしてしまえ」って、ギャグか?「日本人は正直でちゃんと開発してるけど中国人なんていい加減でできてないのにできたと言い張ってるだけ」なんて、もう絶対に言えません。ロボジーか?ロボットの中に人が入ってる、みたいなギャグか。昔、ATMの中にイラン人が入ってるってアホな話もあったな。で、そんなあからさまな不正で出来たことにしてOKしてしまうのか、安全意識はどうなんだ、技術者の誇りはどこに捨てた。

 

 今、全面的に出荷を控えてるとか言いますがここまで大問題になってしまうと、会社がそもそも存続できるのか心配になります。「会社は赤字では潰れないけどコンプライアンスの問題で一瞬にして潰れる」って言葉がありますがさてどうなる。こんなに問題になって今後、ダイハツの自動車を買おうなんて人が出るのだろうか?

 

 経営陣が、短期開発を良しとし、下の者に押し付けた結果がこの結末。

 もう、ここまでくるとギャグのドタバタ映画の材料にでもなるか、池井戸潤さんの小説の材料にでもなるか。企業でここまでのことが起きてたなんて、本当にショックです。

 もっとも、「会社はコミュ力」「コスト削減」「評価制度の革新」「マネージメント階層を減らしフラット化」みたいなとがずっと言われてきたのが平成以来の流行で、コスト削減しか興味がなくて自分に尻尾振る奴を重用し技術を軽視して人員削減なんてアホな経営者達が見かけ上の財務は良くして「経営の神様」みたいに称えられてきたしっぺ返しだと思います。

 

 で、一方、政治家達は安倍派だの二階派だの他の自民党の派閥ではパーティの金をキックバックだの裏金作りだの、それが政治不信を招く、なんて言うのですが、もうとっくの昔に政治不信になってるんじゃないのかなと思うのです。マスコミ不信も

 ここから先は、政治不信な人間の想像にしか過ぎませんが、それくらい「既に不信」なのです。政治不信・マスコミ不信の人間はそう考えるかもということで。

 まず「5年で5億、沢山の金」なんて言い方をしてるけど本当にそれだけ?額少なすぎない?氷山の一角では?

 そもそもが東京オリンピックだの大阪万博だの神宮の森の再開発だの何らかの大量の金が動く場合って、それこそ何段階かの会社をかませて懐に入れる政治家だっているのではないの?東京オリンピックでは、政治家ではないけど案の定、不正があったし。東京オリンピックだって、「中抜き率が激しく高い」と話題にもなった。大阪・関西万博だって税金で万博の土地を整備して後は大阪のIR(Integrated Resort)で私企業に博打でも金儲けさせる予定だそうだし、それって税金の使い方として間違ってる気がしてしまう。

 で、マスコミも今回、「政治家の裏金問題」は大騒ぎするけどその間に大阪・関西万博についての報道は「リング」報道に比べるともはや下火で、国民が「嫌だ、必要ない」といっても東京オリンピックのときみたいに、安倍元首相の「国葬儀」みたいに、実際は万博は粛々と準備が続けられているわけで、なんだか事態の隠蔽に加担してる気もします。「政治問題で何かあると芸能人が麻薬で逮捕される」と同じような何かを感じてしまいます。政治家が巨額の金を動かしたい、民意に沿わなくてもどうしてもやるって時は怪しい気がしてしまう、それこそ5年で5億なんて金ではないもっと多額の不正がありそう。

 ...というのが政治不信の人間の考える(想像する)ことでした。それくらい、もう政治家達は信じられていないのだから今さら「政治不信を招く」なんてないもんだと。