(「僕とすれ違う人々は、称賛しかしません。『誹謗中傷』って、どういうものなんですか?」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 何かと話題になりやすい人が自殺したり、離婚したり、なにやら良からぬことになったりしたときに、「SNSでの誹謗中傷が原因」という説が度々、まことしやかに主張されます。確かに過度に相手を罵る行為は慎まなければいけないし、時にはSNS等で「誹謗中傷」した人たちが犯罪者認定されてプロバイダーに情報開示請求がなされたり、みたいなことだってあるようです。現代においては過度の「誹謗中傷」は犯罪と見做されることだってあるのです。

 

 私がそれでも腑に落ちないのは、 

 「そもそも、『誹謗中傷』ってなんだろう?」

 「見知らぬ人たちが自分の誹謗中傷をSNS上で書いたとして、本当に言われた本人のダメージになるの?」

ってことです。

 

 誹謗中傷と一口に言うけれど、かなり幅があるような気がするのです。

1.真実であって、真実と認めたくないこと(過去の犯罪歴や事件とか耳に痛い)

2.真実であって、認めざるを得なくて気にすること(身体の障害とか)

3.真実であって、認めるけど気にしないこと(身体的特徴で気にしないものとか)

4.虚偽であって、聞いた人が真実だと誤解してしまうもの(まことしやかなデマ)

5.虚偽であって、聞いた人が真実だと思わないもの(アホらしいデマ)

6.単なる悪口(ブスとかブ男とかものの見方で変わるもの)

7.お節介なアドバイス(「結婚相手に問題あるからやめといた方が良い」とか)

 

 あとは「○○すぞ」なんてメッセージなんかだと「強迫」なんてものもあるかもしれませんが、それははっきりと犯罪ですから、もはや「誹謗中傷」の範疇からずれます。

 

 そもそも、「誹謗中傷が酷い」っていう人の言う「誹謗中傷」ってどれのことを言っているのでしょう?

 上の「4」は、真実でもないものが世間に流布されて、あたかも真実であるかのように誤解をされてしまうということでは、それこそ「訴え」を起こしても良いのではないかと思います。

 でも、上の「1」のように知られたくない真実が流布されるのを防止するために、或いは「知られたらまずい真実」が流布して定着してしまうのをさけるために、「誹謗中傷が酷いので対策をとります」なんて言う場合もありそうな気が、どうしてもしてしまうのです。

 

 「誹謗中傷」された人にとって深刻なのは、上で言うと「1」「2」「4」「7」くらいではないかなあと思うのです。「4」は虚偽だから止めるべきですが。また自己肯定感のあまりにも低い人は「6」でも気にするかもしれませんが。

 

 ところで、上のようなダメージのある「誹謗中傷」であっても、「言う人」によってダメージが違うのではないかと思うのです。

 配偶者とか親兄弟とかの言うことと、学生時代の顔見知りとか近所の人とか、全く関係ない人とか、同じことを言われるのでも、受け手はかなりダメージが違うのではないかと思うのです。

 配偶者に嫌われたら一大事だけど、全くの赤の他人が非難のメッセージを送ってきたところで、同じ効果があるものだろうかなって疑問なのです。全然違うはずです。

 

 ところで令和4年の犯罪白書の第6編「犯罪被害者」の第5節「被害者と被疑者の関係」の277ページを見ると、「刑法犯 被害者と被疑者の関係別検挙件数構成比(罪名別)」というのが掲載されています。

法務省:令和4年版犯罪白書 (moj.go.jp)

 その中でも私が注目したいのは犯罪には、殺人、強盗、放火、強制性交等、暴行、傷害、恐喝...など色々あるうちで、「殺人」における被害者と被疑者の関係です。なぜならば、人の犯罪のうちでこれこそが一番、強い心の衝動がないと起きない犯罪だと思うからです。

 殺人における被害者は

親族:46.0%

面識あり:38.4%

面識なし:15.0%

その他:0.6%

 つまり親族によるものが半数近くを占めています。これって、人の意識に対していかに「親族」の影響が大きいかを表しているように思えます。「利害関係」というのもありますが。

 「面識あり」のうちには利害関係者もいるでしょうし何かと自分に普段影響を及ぼしている人です。

 「面識なし」は、それこそ無差別殺人のようなものでしょう。だとすると、なんの思い入れも憎しみもない、感情の問題からは除外したら良いと思います。

 

 上のことは殺人事件に関するものですが、「誹謗中傷」とか「耳に痛い話」とかって、自ずと「親族」「面識があって親しい人、友人」の言葉の方が心に響くのは当たり前でしょう。本来、「その他大勢」がSNSで何をほざいたところで、「虚偽なので誤解されるもの」以外は「人の口に戸はたてられない」と思うしかない、無視しておくに限ると思うのです。ただ、自分と関係のない有象無象が何を言ったところで、心はダメージを受けませんとするのが一番だと思うのですがね。

 

 羽生さんの離婚の話で、対極的に「小室圭さんってメンタル強い」なんて話がでてきましたが、あれって当たり前で「二人の結婚で眞子様が気に入っているかどうか」が最大のキーポイントなのだから、その他大勢の無関係の人たちが何をほざこうが、「関係ない」って話ですから、そんな「誹謗中傷」なんて影響力ゼロだったねって。

 

 そういう目で見ると悪いことが起きたうえでそれを「誹謗中傷」を理由にした非難って本当は結構怪しいかなと思うのです。関係ない人がいくら何か言ったところで本当に心に響くのでしょうかね?羽生さんの奥さんについて「AVデビューする」とかいうデマを流す人までいて、それすら「重大な誹謗中傷」に数え上げる記事もあったっりして、「デマ流す人バカなの?誰がそんなこと信じるの?」と思えました。

 

 この頃はなにか悪いことが起きるとなにもかもひっくるめて「誹謗中傷」とか言い出しそうで、言論弾圧をしたい人々に利用されないようにしないといけないのではないかなと思うのです。中国やロシアなんかだと政府批判はチェックしてるらしいし。あんな怖い国に日本をしたいのでしょうか。