(慎重に周囲の様子をうかがうビーグル犬まろさんオス8歳)

 

 我が家のビーグル犬まろさんオス8歳は、子供の頃、つまりドッグショーでチャンピオン犬になることを目指してしつけられていた頃は、「じぇじぇ」と言う名前でブリーダーさんのところでは呼ばれていました。それは何故かと言うと、NHK朝の連続テレビ小説の「あまちゃん」の主人公が驚いた時に「じぇじぇ」と言うことから来ているそうで、現・まろさんはものごとに驚きやすい犬だったのです。今も、驚きやすいところ、怖がりなところ、慎重なところは変わっていません。散歩の途中でどこかの店の前に幟(のぼり)があって、それが風にはためいていると、まろさんは急に大回りでよけて通ります。散歩に出かけるときに、いつもの方向にどこかの犬がけたたましく吠える声がすると、まろさんは少し考えたのち、「やっぱり、こっちの向きはやめておく」と、他の向きに行くことを提案します。散歩している前方に普段はないものがあったりすると、まろさんはそれだけできびすを返してしまいます。数年前に散歩の途中で凶暴なピットブル2頭に襲われたところの近くにはもはや絶対に近づきません。

 

 私も何かにつけて心配性で、出かけるときに家の鍵をちゃんと閉めたかどうか、ガスはちゃんと止めたか、元栓から閉めたか、電気はエアコンやテレビはちゃんと止めたか、コンセントを外したか何度も確認してしまうことがあります。それで電車に遅れそうになったりしたこともあります。というか、この頃は症状が悪化し頻繁化してたとえば自動車であれば、自動車を駐車したところに必ず一回は舞いもどって窓がちゃんとしまっているか、ちゃんとロックしたか、車内に何か置きっぱなしになっていないか等、二度確認が当たり前になってしまっています。暑い季節になると、窓を完全に閉めずにロックが外れないような窓の隙間を少しだけ作っておいた方が良いか迷って何度も窓の隙間調整したりすることもあります。

 左右に駐車してある自動車がドアを開けたときに、うっかりとこちらのドアに激突して凹みを作るような位置関係になっていないかなんてことを考えるのは常日頃のことです。

 この頃などは、風の強い日にドアを開けたときに、自分の空けたドアが風の勢いで止まらず隣に駐車している自動車のドアにぶつかりはしないか、その逆に隣に駐車している自動車のドアがあけられた途端に風の勢いでこちらのドアに激突しないか、と考えて自動車の前方が風に向かうようになるような列に意図的に自動車を駐車したりしています。南風の強風なら、南向きに駐車するということです。それならドアをあけたときに強風にさらされても、「ドアが閉まる」ように力が加わるだけなので、ドアが急に風にあおられてあきすぎで隣の自動車のドアにぶつかる心配は著しく低減します。先日などは一旦、駐車して後に、どうしても気になって追い風方向でなくて向かい風方向になるように別のスペースにわざわざ駐車し直しました。なんだかそういうところが、自分でも無駄に慎重な気がして、しかしそうしないと不安で不安でしょうがないのでそういうことをやらずにはいられない、いわゆる「強迫神経症」とでもいうもので重くて疲れます。

 

 ビーグル犬まろさんは犬だから人間みたいに色々と複雑なことをするわけではないのですが、それでも散歩の方角を変えたりする諸々のことをよく観察してみると、随分と慎重に用心深い犬だな、と思うのです。で自分がビーグル犬まろさんを相棒、バディ、気が合うなあと思うのは実にそうした「用心深さ」が自分とまろさんには共通しているからだろうかな、と思い当たるのです。

 よく、「犬と人間は飼っているうちに似てくる」とか「人間は自分に似た犬を飼う」とか言いますが、私はまろさんみたいなハンサムではないけど、そういう性格の根本的なところ心配性なところが似ているのだろうな、と。

 

 ときどき、「賢い犬種ベスト10」とかではビーグルではない他の犬が挙げられていたり、ビーグル犬はむしろ「飼いにくい犬種」(無駄吠えする傾向が大だと言われているから)のうちに入っているけれども、まろさんは私たちにとっては異常に賢い、無駄吠え全くしない、咬まない、うならない、陽気だけど慎重な用心深い犬なのです。飼い主と飼い犬の関係にも相性があるんだろうなあと思います。