（2012年のリゾナーレ小淵沢のハロウィン）
ハロウィンの経済効果は、コロナで2020年、2021年と色々ありましたし今年はまだですので2019年でみると、一般社団法人 日本記念日協会によると1,155億円だそうです。バレンタインが1,260億円だそうなので、ほぼ同じです。
これに対し、クリスマスはだいたい7,000億円程度(6,749億円と書いてる資料も)で
大分規模が違います。クリスマスは、ケーキにプレゼントに、色々と本当に支出がありますから、数字にそんなにウソはないと思います。ハロウィンはこんな規模なのに流行ってるみたいな言い方する？
だから、本当は「そんなに盛り上がっているわけではない」が正解なような気がするのだけれど、マスコミにしても、こういう計算をする組織にしても大きめに言いたがる傾向があるような気がします。あまり大きめに言われるとなんとなくウソ臭く感じてしまうのは私だけでしょうか。
確かに買い物をすればハロウィン期間限定のお菓子のパッケージとかケーキとか、スーパーマーケットとかでもハロウィンの飾りつけみたいなのをしているところがあったりしますが、別にハロウィン「だから」なにかを買うというのではなく、たとえばハロウィンのパッケージの菓子を買ったときに、いつも買っているお菓子が「たまたま」そういうパッケージであるとか、ケーキならかぼちゃを使ったものだったりとかで、その分の消費が増えているわけでもないのです。中にはハロウィン「だから」ケーキを買うというご家庭もあるかもしれないけれど、クリスマスケーキの騒ぎと比べたらまったくの「通常運転」のような気がします。
東京のマスコミがなんだかなあと思わせるのは、日本の中で東京だけが日本、みたいな扱いの報道をすることで、渋谷やその他東京の一部でおつむの軽い若者たちが仮装して集まって騒ごうが、東京ならざる場所に住んでいる人間にとっては全く関係ない話なのです。私が大学時代に京都に住んでいたときも「全国ニュース」で「東京の渋谷から」がまるで「そこだけが日本」みたいないい方で報道していたのが、大いに違和感があったものでした。当時の感覚ですが、それまで神奈川に住んでいたときは(今も神奈川ですが)そこまで違和感も感じなかったのですが、京都に住んでるとさすがに。
遊園地などの人が集まる場所も「ハロウィン」仕様にしてたりするところが多いかもしれませんが、そもそも10月は気候がいいので出歩きたくなる季節だろうからわざわざハロウィンとかうたわなくたって良いものを、と思ってしまいます。普通に観光シーズンですから。
ましてアメリカみたいに子供たちが「Trick or treat?」と言って各家庭を回ってお菓子をねだるなんて風習なんざ全く根付かなかった訳だし、子供の数が減少している現代日本では、子ども会も衰退したし、地域社会や家庭に根付いたイベントなんて望むべくもなく。
露出狂的若者がコスプレしそうだから、そういうのはお断り、とかいう遊園地もあったりして、なんだかハロウィン＝コスプレしたいごく一部の人たちが解放区みたいなところに集まってどんちゃん騒ぎする、みたいな悪いイメージを持ってしまいます。現に、昔、渋谷だったか騒いだ若者が自動車をひっくり返して後で逮捕されたりとか、あれは酷い。
今、東京のどこかで騒ぐのがハロウィンと思ってる若い人たちは全く意識しないかもしれないけれど、30年前の1992年の10月17日、日本人留学生の服部剛丈さん(当時高校２年生、16歳)がアメリカのルイジアナ州バトンレール市郊外で射殺されたことがいまだに思い出される、という人はある程度の年齢の人には多いのではないでしょうか。
服部さんはホームステイ先の同年代のアメリカ人少年と一緒にハロウィンパーティに出かけたのだけれども、訪問先の家を間違えて、さらに「Freeze（動くな）」を聞き間違えて動いたので拳銃で胸を撃たれて亡くなった、という事件です。撃った人はロドニー・ピアーズ氏。
刑事裁判は陪審員全員一致で無罪
民事裁判は653,000ドルの支払いがピアーズ氏に命じられたが保険金でカバーできた100,000ドルだけ服部さんご両親に支払われた (出典：Wikipedia)
だそうで、この事件はアメリカの銃規制に影響を少しは及ぼしたものの、いまだにアメリカが銃社会であることは変わりがありません。
私はハロウィンと聞くと真っ先にその事件を思い出してしまうのです。
それに引き換え、日本の今のハロウィンはパーリーピーポーが仮装して大都会で大騒ぎ、とか平和です。一部事件も起こす輩もいますがおおむね平和です。いやアメリカのハロウィンも本来は平和だったんだけど、あの事件の印象が余りにも強すぎて。経済浮上にハロウィンと言う藁にも縋るのはわかるけど、あまりウソのないように報道して欲しいと思います。