(謎解きをする名探偵ビーグル犬まろさん)

 

 今年は3年ぶりに京都の祇園祭の山鉾巡行が開催される予定だそうです。このところ天気が悪くて心配ですが、とりあえずコロナで中止になっていたのからようやく脱することになるので目出度いです。その後の感染拡大は心配でもとりあえず良いことと言うことで。そもそも祇園祭は疫病退散がきっかけだったはずですから、疫病流行りの今の時代こそ必要なわけで。

 それはともかく私もどうせ行けはしないものの「行きたいなあ...」と思って調べてみたらビックリ。

 祇園祭自体は7月の1ヵ月間に色々な行事がなされ、観光客が一番沢山押し寄せるであろう「山鉾巡行」は毎年7月17日、宵々々山は14日、宵々山は15日、宵山は16日、そんな風だったはずなのですが。

 

 私、大学が京都なもので京都に住んでました。世界遺産下鴨神社の直ぐお隣みたいなところ、左京区下鴨西林町でした。1970年代末~1980年代初めにかけてのことです。だから、結構、京都のことは知ってるつもりでした。

 

 それで今年の祇園祭を調べてみて何やら宵々々山、宵々山、宵山から山鉾巡行という流れは17日に山鉾巡行をおこなう前祭(さきまつり)と、24日に山鉾巡行をおこなう後祭(あとまつり)とに二つに分裂しているというのです。

 

 「いやいや、幾らお祭りが観光資源だからって、伝統的祭りを捻じ曲げて観光客を2倍にしようとするなんて観光業者も京都市もなんと強欲な」と一瞬思ったのですが、さらに調べてびっくり。

 

 なんと、山鉾巡行が7月17日だけだったのは1966年に7月17日の山鉾巡行と7月24日の山鉾巡行を7月17日で合同におこなうようにして、それが2013年まで続いた50年間近くだけのことで、2014年から古来からの7月17日の神幸祭と7月24日の還幸祭に合わせて山鉾巡行も元々の形に「戻した」というのです。だから私が京都に住んでいた期間はすっぽりとその祇園祭の歴史上、特殊な期間に入っているわけで。知らなかった。恥ずかしい。

 

 私の知ってる山鉾巡行は合計33だったかの山と鉾が巡行するというものだったのが今年、というか2014年以降は7月17日に23の山と鉾、7月24日に10の山と鉾と言う風に変わっているのですね。

 で、17日の前夜祭としての宵々山~宵山は交通規制・歩行者天国・露店は15日と16日だけはあって、24日の前夜祭としての宵々山~宵山は交通規制・歩行者天国・露店は無し、ということだそうで。山や鉾の置かれている町の範囲も違うから後祭の範囲の町は本当にそれでいいのだろうかと思いますが、とりあえずそういうことになってるようです。

 

 その昔の大学時代に京都にいる間、7月17日の山鉾巡行は下宿を訪ねてきた母と行きました。暑い日でした。河原町通りで見てたと思いますが、方向転換で山だか鉾だかが軋むのを見て壊れやしないかとハラハラしていた記憶もあるから河原町御池か四条河原町だったかで見ていたことがあるのでしょう。背ぇの高い鉾とかに大勢の人が乗ってるのを見ると、「おぉ!」と思いました。あんなに乗ってて大丈夫なのか、とか。あれ、乗ってる人はその町の人なのでしょうけど、まさに「よそ者お断り」の世界だなあと感じました。でも見物するのは確かに良いものです。

 

 ただ、祇園祭でやはりいかにもお祭りだなあと思たのは宵山だったか宵々山だったかに意を決して行ってきたときでした。あれは山鉾巡行よりも「土着のお祭り」感が溢れていて、懐かしいような寂しいような自分だけがストレンジャー、自分だけが見知らぬ街に放り込まれたような気になりました。町の人は各町のお祭りの拠点でのんびりと酒盛りもしてるし、屋台も出てるし。

 しかしあの昔から「コンチキチン」と称される祇園囃子の澄んだ笛と鉦と太鼓の音を聞くにつけ、提灯に灯された灯りを見るにつけ、何やらこの世ですらないようなあの世に行ってしまったような幻想的な感じがしました。町の人にとっては毎年の愉しみなお祭り、よそ者感が本当に際立ちます。観光客が多ければよそ者感がないかというとやはりそうでも無くて、テーマパークで「祭りを楽しむ人々」を見ているような感じでしょうか。でもそんな、思いっきりよそ者感、疎外感、しょせんよそ者はよそ者、京都の人間ではないって感じを楽しむのも、とても良いな、とかも思います。旅行者だったら特に。それも頭の中の幻想的な思い出になるのですから。