(谷内六郎館の途中から海を眺める)

 

 横須賀美術館で開催中の「エドワード・ゴーリーを巡る旅」(2024年7月6日 (土) 〜 2024年9月1日 (日))に行ってきました。

エドワード・ゴーリーを巡る旅 | 展覧会 | 横須賀美術館 (yokosuka-moa.jp)

 

 お昼少し前のちょうど良い時間に着いたので、いつもは混雑して諦めがちなレストラン、横須賀アクアマーレでまずは腹ごしらえです。

 私が選択したのはLUNCH MENUの「ランチAコース」でした。これまではランチはサラダとドリンクが付いた「ランチセット」というのを頼んでいて、パスタセットが1400円、ピッツァセットが1600円だったのが、このご時世、それがなくなってしまいました。単品は同じ価格であるけれど。

LUNCH MENU | 横須賀アクアマーレ (acquamare.jp)

 その代わりに、サラダが前菜に代わってデザートがついたランチAコース2800円とメインディッシュもついてるランチBコース4300円があります。

 私は一人で来たのでAコースにしたというわけです。料理を待つ間、手持無沙汰だし。

(前菜)          (パスタ)

(デザート)

 前菜もデザートも本格的、パスタはいつもながらにおいしい。あとはこれにパンと飲み物がつきます。私は飲み物はカフェラッテを選びました。

 店内は11時半には待ち行列ができていて、繁盛しています。横を見れば海、テラス席ならそのまま海を眺めながら、料理もおいしい、というのでプチ贅沢感があります。席に座っている人たちもいつもながらなんとなく余裕有りげな人ばかりです。

 

 さて、食事を済まして、いよいよエドワード・ゴーリー(1925-2000)、です。ゴーリーは絵本作家で、この展覧会はその原画を見るものです。

 エドワード・ゴーリーというと、どこまで有名なのか知らないのですが私は子供が小さい頃に絵本を選んでいるなかに、エドワード・ゴーリー作のものがあったと記憶しています。変な題名だったので覚えているのです。それは「うろんな客」。「うろん」とは、うさん臭いという意味で、絵本にそんな題名で、何やら怪しげな黒い...人でもない動物でもなさそうな何か、が客、のようなのです。原題は「The Doubtful Guest 」で英語だとなんということもなさそう、なのでうまい日本語訳をつけたものです。

 私のゴーリーに関する事前の知識と言ったらその程度のもので、今回展覧会を見て、かなりダークな世界観のものを書いているのだなと気が付きました。絵本でも、子どもが読むものでも、「みんな幸せになりました、めでたしめでたし」にはならないそうなのです。かえって不幸になるとか...

 今回、そうした絵本の何冊かの原画がたくさん展示されていたのですが何に驚いたかと言うと、一つ一つの、その絵の小ささ。基本的に絵は紙にペンとインクで白黒のモノトーンの絵なのですが、絵のサイズは印刷する本のサイズ(大きくない)と同じくらいなそうで、まあ小さい。その小さい画面に細い...というか細密というか圧倒的に細かい線が密集して引かれていて絵の濃淡を表現しているのです。どうやって描いたんだ、どんなペンを使っていたんだって思えるようなもの。この頃とみに老眼気味な私としては、なかなか細部を見ること自体がしんどかった。いや、それくらい精密な細密な凄い仕事ですよ、ってことです。一つの絵本でそうした絵をたくさん描くわけですから、感心します。しかも、各々の絵がダークなおとぎ話のなかにいるような世界を形作っているのです。絵の中には空想の変な「生き物」も沢山出てきます。

 展示では基本的に一つ一つの絵に解説が記されているわけではないのでどんな場面か分からないのでした。もしも可能ならもっと解説文があって欲しかったかもしれません。ただ、一つ一つの絵は本当に面白い。

 

 エドワード・ゴーリーの世界を抜けて、所蔵品展をみて、最後に私のこの美術館の一番のお気に入り、これがあるからこそこの美術館に来たいという私にとっての動機の元、谷内六郎美術館に行きました。

奏でる―楽器の調べ― | 展覧会 | 横須賀美術館 (yokosuka-moa.jp)

 毎度、この谷内六郎美術館で絵の一つ一つにつけられた文章を読みながら、その絵の世界に浸っていると、ほっとします。癒されます。

 この頃思うのが、レストランは繁盛して混雑、企画展はある程度混雑、所蔵品展は結構空いて、谷内六郎館は空いているのが、なんだかもったいないな、と。せっかくだから、来られた方々もじっくりとこちらの方も見たらよいのに、と。