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(ずっと、、、車内での会話文が続きますので、想像して読んで、、ね←他力本願、笑)
試合前、会場まで乗ってきた車に乗ろうとすると、相葉さんは、後ろの座席じゃなくて、助手席に乗り込んできた。
「おまえ、疲れてるんだろ。
後ろに乗れよ」
「いや、こっちがいい」
「後ろの方がラクだぞ」
「いいって。
横にいた方が話しができるじゃん」
「けど、、、おまえ、口の中、切れてるんじゃないの?
しゃべりにくいのに、無理すんな」
「もう、、、にの、うるさい。
いいから、車出して」
「、、、、、、、、。」
仕方ない。
こいつは、意外と頑固なんだ。
言い出したら聞かない。
他の人には優しいくせに、オレにはこうして頑固な面を見せてくる。
内心、、、、それが嬉しい、、って思ってるなんて、おくびにも出さないけどさ、、。
それを思うとオレも、負けず劣らず頑固なんかもしれん。
仕方なく、ゆっくりとアクセルを踏んだ。
助手席の背もたれを少し倒し、相葉さんは眼を閉じた。
「ねぇ、、、にの、、
オレ、、、もっと、、、強くなるって思う?」
「はっ?何?急に?」
「さっきはさぁ、、
世界を目指す!なんて強気なこと言ったけど、、、
やっぱ、、、」
「そんなこと言うなんて、おまえらしくないじゃん」
「オレらしい、、って何?
オレ、、ほんとは恐いよ。
ボクシングは大好きだけど、、、
相手を殴るなんて、、ほんとは、、恐いし、殴られるのもイヤだもん」
「、、、、、、、。」
「けどさ、、、
応援してくれる人も沢山いて、、、
こうして、オレのために動いてくれるにのもいる、、、。
その恩に報いるためには、、、世界チャンピオンにならないと、、って」
「それは違うんじゃない?」
「違う?」
「あぁ、、
確かに、応援してくれて援助してくれて世話になってる人もいるけど。
その人たちのために、頑張るって思うのは、おまえらしいけど。
だからって、、、
無理をするってのは、違うんじゃない。
相葉さんが、、、世界に挑戦したいって思ってるんなら、そうすればいいし。
もう、やめた!って思うんなら、それもありだよ」
「、、、、、、。」
「おまえの思うようにしたらいいんだ」
「でも、、、オレがボクシング辞めちゃったら、、、にの、、、オレと一緒にいてくれなくなるんだろ?」
「オレ?」
「うん、、、にのは、ボクシングをしてるオレがいいんでしょ?」
「えっ?」
「だからぁ、、
ボクシング辞めたオレは、にのにとって何の、、、価値もなくなるんだって、、」
「おまえの、、価値?なんだそれ?
、、、、バカなの?」
「、、、、どうせ、オレはバカだし、、」
「オレが思ってるおまえの価値って何だよ?
勝手に決めるんじゃないよ。
オレは、、、別に、、
ボクシングをしてるから、あんたと一緒にいるんじゃない」
「、、、、違う、、の?
だって、、にの、、、格闘技、、好きじゃん」
「好きだよ。
だからって、、、、」
「オレは、、ずっとそう思ってた。
オレが辞めちゃったら、にのは、、、、」
「ほんと、、、バカだ、、
あんたとオレなんて、こんな小っちゃいころからのツレじゃん。
今さら、おまえが何しようが関係ないだろ」
「おまえとか、、あんた、、とか、、
にの、、言い方が、、」
「うるさい、そんな細かいことウダウダ言うな。
いいか?
おまえの思う通りにしろや。
自分の人生だ。自分の思う通りにすりゃいいんだよ。
オレは、、、
おまえが、何をしようが、、、」
「、、、うん、、、何をしようが?」
「おまえが、、何をしてようが、、、着いて行くから、、」
「にの!!!ほんと?!」
「はぁ、、、うるさいなぁ、、
何度も言わせるなよ。ほんと、、今さらじゃん。
ほら、病院に着いたぞ。
ちゃんと診て貰ってこい。
かっこいい顔が台無しだ。
事前に医師には連絡しといたから、、」
「うん!ありがと。
にの、、、待って、、てね」
「大丈夫だって、、」
相当、殴られた顔も腹も痛いだろうに、それでもオレの言葉を聞いて嬉しそうに車を降りる相葉さんは、、、きっと、、、
あんな弱気なことを言いながらも、、
ボクシングを辞めたりしない。
あの人は、途中で投げ出したりしない。
そんで、、オレは、
その相葉さんの、、、
たぶん、、、、いや、、、
絶対に、、、
ずっと隣を歩いて行くのだろう。
相葉さんが、オレに持ってる感情がどんなものなのかは、知らないけど。
オレは、、、そういう意味で、、、、相葉さんが好きだ。
それは、もうずっと前から。
離れた方がいいと思ったことも一度や二度ではない。
でも、その度に、どうしたって離れられないことを思い知った。
それなら、、、
とことん、、、着いて行く。
そう決めた。
まだ、
未完成なオレと相葉さんの人生は、
死ぬまで完成を見ることはないだろう。
いや、死んでも無理かもしれない。
オレは、
例え、死んだとしても、着いていく気満々なんだけどね。
んふふ、、、ふ。
車を駐車場に停めて、病院の玄関へと向かいながら、、。
そんな想像をしてるオレの顔は、どんな顔をしていたんだろう、、。
塀の上から、オレを見てたネコが、
ひと声、、、、にゃあ〜、、と
高く鳴いた。
==未完====