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とりあえず、、このまま待つか、それとも、獣医のところへひとっ走りするか?

 

 

どうしょうか?

 

 

えぇ~い!

ぐじぐじしててもしょうがない!

 

 

オレは、獣医のところへと、走り出した。

 

 

変に迷って立ち止まってるより、行動した方がオレらしい。

 

全速力で走るオレを、あっちからこっちから見つけた仲間が声を掛ける。

 

 

(チビ助、、さ、、)

(あっ、チビす、、、)

(何をそん、、)

 

だけど、どの仲間の声も途中までしか聞こえやしない。

 

走り去るオレに驚く顔が、後ろへ後ろへと流れていく。

 

 

だけど、、。

 

(チビ助さん!どうしたんです?)

 

一匹だけ、オレとおんなじ速度で走りながら、着いてきた仲間がいた。

 

 

(おぅ、トラじゃ、、ない、か、、、)

(何をそんなに急いでるんですかぁ?)

 

トラは、オレより若い。

 

流石に息も切らさないで、話しかけてくる。

 

 

(い、、や、、ちょっと、、たし、、かめ、、たい、、こ、、とが、、あって、、)

 

それに比べて、オレは、途切れ途切れで答えてる。

 

 

(へぇ?チビ助さんが、そんなに急いでるってことに興味があります。

 ご一緒していいですか?)

(べつ、、に、、、いいけ、、ど、、)

 

(では、、、。念のため、どこを目指してるんです?)

(丘の、、うえ、、の、、、、)

 

(あぁ、動物病院ですかね?)

(、、、そう、、だ)

 

(でも、確か、今日はあそこ休診日ですぜ)

(えっ!)

 

 

トラがそう答えたのと、オレが急ブレーキをかけたのは同時だった。

 

そんなオレの前に飛び出したトラが、慌てて戻ってきた。

 

 

(トラ、それ、ほ、、んと、、うか?)

 

まだ、息切れしてるオレに、、

 

(はい。オレのかかりつけ医ですからね。

 実は、昨日、飼い主に連れて行かれたんですよ。

 で、その時に、医者に飼い主が言われてました。

 明日は、休診だから、、、って)

 

(マジ、、か、、)

 

そうなら、、、。

雅紀とそらは、そこに居ない。

 

 

 

(どうしたんです?行かなくていいんですか?

 さっきまで、あんなに走ってたのに)

 

(あぁ、、もういい。

 休みなら、そらが居ることもないだろう、、)

 

(そら?)

 

(あの新しい美容院の雅紀に飼われてるって犬コロだ)

 

(ぁあ、昨夜、チビ助さんが言ってたあのそらですか。

 、、、、、そうですね。

 病院には、、そいつ、居ないと思います)

 

(ん?トラ?

 おまえ、何か知ってるのか?)

 

(、、、、、。

 えぇ、、、。

 雅紀とそいつは、、車に乗って出掛けませんでしたか?)

 

(あぁ、よく知ってるな。その通りだ)

 

(オレ、見たんですよ。

 雅紀が運転してる車が、走っていくのを。

 それって、こっちとは反対方向でしたから)

 

(、、、、、そうか。

 じゃ、、やっぱ、違うんだな)

 

 

 

オレは、気が抜けてしまって、花屋の店先に腰を下ろした。