。。。1

 

 

 

 

 

 

 

 

吾輩はネコである。

 

 

名前は、、まだ、、な、、い、、。

 

 

いや、、ある。

 

あるんだけど、、さぁ、、。

 

 

 

へ?名前を教えろだって?

 

う~~ん、、。

あんまり、言いたくないんだけどなぁ、、。

 

 

 

オレの名前は、、、チビ助、、。

 

は?随分と体型に合わない名前だって?

 

 

うるさいなぁ、、黙れよ。

どうせ、オレはデカくて太ってるよ!

 

 

仕方ないだろ。

オレの飼い主である二宮和也って男がつけてくれたんだからさ。

 

 

じゃあ、、

どういういわれでオレの名前が決まったのかを教えてやる。

 

そう、、あれは、、。

 

 

 

 

 

寒い寒い、、雪交じりのみぞれが降る夜だった。

 

 

オレは、母親ネコとはぐれ、ひとり道端の泥に嵌まってた。

 

 

”にゃ、、にゃぁ、、、にゃ~”

 

 

こんな寒い夜じゃ、オレのか細い鳴き声なんて、かき消されてしまって、誰も気付いてくれなかった。

 

 

”寒い、、、さむ、、いよぉ、、。

 オレ、、このまま死んじゃうんだ、、”って、、思った時だった。

 

 

「どこ?どこにいるの?

 ネコちゃん?いるんでしょ?」

 

近くから、若い男の声が聞こえたんだ。

 

 

オレは、これを逃すと絶対に死ぬ、、と思い、声を振り絞った。

 

”にゃあ~~なぁ~~にゃ”

 

 

「いた!見つけた!」

 

声の主が、オレを泥の中からすくい上げてくれた。

 

 

「おまえ、ひとりなんか?

 こんなに痩せて、、泥だらけだ」

 

 

ぶるぶる震えるオレを、自分の服が汚れるのも構わずに、抱き留めると、すぐに家に連れて帰ってくれた。

 

 

「まず、、風呂だ。

 こんなに震えてる。あっためなきゃ」

 

 

風呂?それってなんだ?

 

母ちゃんから教えてもらった人間の言葉の中には、”風呂”なんてのはなかったぞ。

 

 

 

そしたら、そいつは、オレを抱き締めたまま、オレに水をぶっかけたんだ。

 

 

でも、、、なんだろう。

あったかい、、。

水がこんなにあったかいって知らなかった。

 

野良のオレは、水といったら、空から降ってくる冷たい雨しか知らなかったんだ。

 

 

 

あったかい水をぶっかけながら、あわあわしたのをオレに乗っけてごしごししてくる。

 

なんか、、、気持ちいい。

 

あったかいし、このあわあわも良い匂い。

 

 

大人しく洗われてるオレに、そいつは、『いいこだなぁ、おまえ』って言った。

 

 

すっかりキレイになったオレを、今度は、タオルでごしごししてくれて、これまた、あったかい風が出てくる大きな音がするので、乾かしてくれた。

 

 

「へぇ~、おまえ、茶トラ柄だったんだな。

 ふふ、、ふわふわになった」

 

って、嬉しそうにオレの背中を撫でてくれた。

 

 

「あっ、そうだ!ネコ用のミルク!

 コンビニでも売ってるんかな、、」

 

 

そいつは、ちょっと待ってろよ。と言い置くと、箱にタオルを敷き詰めてオレを寝かせると、外に出て行った。

コンビニ?って?

それも、その時は知らない言葉だった。

今は、知ってるけどね。

 

美味しいもんがいっぱい売ってる店だろ?

 

 

 

すぐに、帰ってきたそいつは、買ってきたものを鍋で温めてオレの前に置いた。

 

 

「どうぞ、、。

 あったかくて美味しいよ」

 

 

へぇ、、。良い匂い。

 

そう言えば、、何にも喰ってなかった。

最後に食べたのって、、いつだっただろう、、?

 

 

オレは、遠慮なく出されたものを飲み出した。

 

 

な、、なんだこれ?

うまい、、。

めっちゃ、うまい!

 

夢中で飲んだ。

 

 

飲み終わると、、腹の膨れたオレは、、いつの間にか、、。

 

 

ふかふかタオルの上で、眠ってしまってた。