IF。。。129
全く見当違いの策略。
どうしてオレが、それに""うん"" と言うと思ったのか、、。
断った縁談。
だけど、兄が簡単に諦めることはなくて、、、。
何度か一緒の所を写真に撮られるように謀られたりした。
「風間!どういうこと!
また、撮られたんだけど!」
「申し訳ありません。
油断しました。
先日、再度、お断りの返事をさせていただいたので、、、。
流石に諦めてくださったものだと、、。」
周りからじわじわと固められていくようで、イヤになる。
今のところ、信じられるのは、この風間とオレの教育係の鈴木と、、もうひとり、、身の回りの世話をしてくれる田中という女性だけだった。
「でも、雅紀さま?
このような行動にあちらが出てくるということは、かなりあちらが焦っているという証拠です。
では、何故、あちらが焦ってるのか?
それは、雅紀さまが実力をつけられてきているから、ということに他なりません」
お茶を淹れてくれながら、田中が言う。
「そうですそうです。違いない!」
風間が嬉しそうに手を叩いて喜んだ。
「あのねぇ、、。
オレの方の身になってよ。
好きでもなんでもない人とウワサ立てられてさぁ。
挙げ句の果てに結婚させられるかもしれない恐怖」
「大丈夫です。そんなことは絶対にさせません」
「風間、ほんとに頼むよ」
オレが頼りに出来るのは、この人たちだけだった。
寂しかったか?だって?
ふふ、、、それがさぁ、、。
その点では、あまり寂しさを感じなかったんだよ。
にのと会えない、言葉を交わせない。。って寂しさは、もちろんあるけど、頼りにできる人が、この人たちだけだということは逆に安心感があった。
知ってるだろ?
オレは、、オレの本来の性格は、人見知りなんだよ。
昔から気を許せる相手は、そう多くない。
とにかく、オレは、目の前に次々と現れる難題をこなしていくことで必死だった。
夜、、ひとり部屋に帰ると、空を見上げるのが日課だった。
この、、星を月を、にのも見てるだろうか、、。
そう、、思って、、た。
転勤で、地方の都市に行ったにの。
櫻井さんは、時には出張の折に、、時には、メールで、にののことを教えてくれた。
『今日は、仕事でこんな成果をあげました』
『今夜は、同期と飲み会があるようです』
そんな嬉しい報告は、オレを笑顔にさせたけど。
『実は、、彼にストーカーが、、』
『付きまとわれて、ネガティブなウワサを流されてしまいました』
心配がつのる報告には、ただ、、遠くの地で、心配することしか出来なかった。
すぐに助けに行きたい。
オレの、、オレのにのに触るんじゃねぇ!って、、。
行きたいのに言いたいのに、、できない。
無力な男だよ。。。
そんな中、、
『どうもストーカーから助けてくれたのは、大野さんのようです』
大野?
大野って、、あの大野智?
ふにゃっと笑った顔が、オレの眼に浮かんだ。