一人っきりの朝。ずいぶんと冷え込んで来た11月の事でした。

目が覚めると、1DKの部屋が昨夜より更に広く感じた。

私は完全に戦意喪失し、目は覚めるも、体を起こす気もしない。

平日だったので、仕事でしたが。

若さなのか、それとも精神的に参っていたのか、とにかく私は、何もする気がしない。

仕事が始まるAM8:30に、少し電話を眺め、目を逸らす。

私は何故、何の為に今まで生きて来たのか、疑問に思った。

仕事も出来ず、金も無い、おまけに彼女にも見限られ。

もう何も無い。いやあった。借金ならいくらでもある。

私は仕事は出来ないが、スロット資金の切れた時、また、彼女の借金を肩代わりしていたので、毎月借金を繰り返していた。

当時私は、すでに200万近くの負債を抱えていました。毎月の支払いは20万。

私の給料は手取りで14万。残業してこれくらいでしたので、蟻地獄の様に借金にまみれていきました。

それでも仕事には行く気がしません。私は何か力が抜けていく感覚に陥りました。

思えば、私はここ1年半、ずっと彼女の支払いを手伝って来ました。

警備員や土木作業で働いたり、とにかく金で仕事を決めてきました。

夜間の交通整理で、事故をし、左足の筋を切って、リハビリに苦しんだ事もあった。

精神的に悩みすぎて、ゼンソクを患ったりしたこともあった。

喧嘩したとはいえ、こんな結末になるとは思いもしなかった私は、酒に溺れた。

よく覚えていないが、私は当時、焼酎やビールが飲めなかったので、

ブランデー等の洋酒を買ってきて、一日中、夜通し飲み続けた。

眠れないので、無意識に寝るまで酒を飲み続け、目が覚めれば、また酒を飲む。

いくら酒を飲んでも、頭から離れない

私はもしかしたら、彼女が戻ってくるのではと、内心期待していたのだろう。

仕事先から着信もあるが、見ていない事にした。

そんな生活が3日程続いた。


仕事を始めて2ヶ月が経った頃、

辺りはすっかり秋に染まっていた。

私の住む地域は、山脈が多く、地元の我々でもわざわざ紅葉を観に行く程で、

やはり良い物良いと、改めて感じられる季節でもあります。

仕事の方は相変わらずだが、皆で私をかわいがってくれた。

私もなかなか居心地が良い・・・・

様にしていた。今思えば、周りに気を遣い過ぎていたのだろうか。

私はすでに最初の越えられない壁にぶち当たっていた。

仕事の内容は、特別難しい物は無いが、とにかく体力勝負。

笑顔が続かない。そんな日々が続いたある日の夕方。

「別れる」

そんな台詞から始まった。

今の就職先が決まった時、一緒に喜んでくれた、彼女だ。

実は私達はいつも喧嘩していて、今回も同じ様に仲直りすると思った。

ところが次の日、喧嘩はエスカレートし、仕事中にも関わらずメールで大喧嘩をした。

遂に私は一つネジが外れ、タブーを放った。

それは魔法の言葉。どんな人でも逆上させる、とても汚い言葉。

私は、せいせいしたと同時に、少々の不安も覚えた。

その夜、家に帰ると、彼女はアパートにはいなかった。

彼女の荷物はあったので、少し安心し、仕事疲れもあったので就寝する事にした。

明くる日、私はいつもの様に、仕事へ向かう。

なんとなく嫌な予感はしていた。しかし、私が落ち込んだ顔をすれば、連中は心配する。

そう思い、いつもと変わらずジョークを交え、仕事をしていた。

内心、心配で仕方無かったが。

仕事が終わり、急いでアパートへ向かった。

まるで入居したてのアパートの様に綺麗さっぱり何も無かった。

散らかしていた服も綺麗に畳んである。

あるのは、私が実家から持ってきた敷き布団だけ。

実感したのは部屋が広くなった事でした。

私は改めて自分自身の不甲斐なさを実感して久々に泣いた。

2001 9月21日 PM1:00

先日、就職した私は、指示の通り、草むしりをしていた。

まだ暑さが残り、外にいるだけで汗が滲む。

時折、川の方から風が吹き、暑さを和らげた。

最近、仕事の事やギャンブルの事、月々の支払い等、私は、精神的に疲れていた。

しかし、この日はとても気持ちが楽でした。

思えば、パチンコ屋に通った日々は、どうだっただろう。

朝、7:00には入場待ちをするため、並ぶ。

狙い台が取れれば、ひたすら回す。

狙い台が取れなかったり、読みが外れた場合は、早めの撤退。

私は割りとうまくやっていた方だ。

最低限食っていく分にはこれで十分な時代で、私の行く店には、そういった輩が何人もいた。

しかしやはり田舎なので、人口が少なく、常連以外でも、見たような顔ばかり並ぶ。

夕方、読みが当たって打ち続けていた場合、私は箱をいくらか積んでいるので、

私を夕方から見た人は、私をサクラと認識していたようだ。

追い風は止まった。

この商売は、すぐに目を付けられ、暇なチンピラ達が軍団で毎朝来るようになり、

私の様な個人は、次第に追いやられていった・・・

「おい休憩だ」

はっと我に返ると、社長が遠くで手をこまねいている。

私は手を止め、急ぎ足で事務所へ向かった。