【新 慶應義塾豆百科】 アート・センター | ねぇ、マロン!

ねぇ、マロン!

おーい、天国にいる愛犬マロン!聞いてよ。
今日、こんなことがあったよ。
今も、うつ病と闘っているから見守ってね。
私がどんな人生を送ったか、伊知郎、紀理子、優理子が、いつか見てくれる良いな。

曽田歩美様に頼んでマロンの絵を描いていただきました。

【新 慶應義塾豆百科】アート・センター

三田評論ONLINEより

アート・センターの展示室であるアート・スペース(三田南別館内)

慶應義塾大学アート・センターは1993年7月、大学附属研究所の1つとして開設後、2023年に30年の節目を迎えました。

1980年代後半の日本では、空前の好景気を背景に、企業による社会貢献活動への気運の高まりと相俟って、美術館や博物館等の文化施設の開館が相次ぎ、芸術経営(アート・マネジメント)人材の育成が急務でした。この状況下、まずは文学部が、1991年に総合大学として初めて「アート・マネジメント講座」を開講し、これに続いたアート・センターの開設は、経済・行政・法律・情報工学等の諸学協同の立場から、現代における芸術活動のあり方や意義等の理論的探究を行い、かつ実践的な活動を行う場づくりの取り組みとして、広く各界からの注目を集めました。

開設後の数年間は、地方自治体(愛知県、山形県、東京都港区)等からの受託事業による調査研究やアート・マネジメント分野の講座設置に加えて、現代の芸術や文化に関する講演会・公演会・シンポジウムのほか、身体表現や映像表現等をテーマとする研究会等に力が注がれました。とりわけ地元港区との繋がりは、同区内の歴史ある神社仏閣や史跡等を巡る「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクトとして今に受け継がれています。

そして1998年4月、実験的な「アート・アーカイヴ」の第1号として、1960年代に活躍した前衛芸術家の土方巽の舞踏に関わる多数の1次資料の寄託受入れを契機に「土方巽アーカイヴ」を設置。その後も、瀧口修造、西脇順三郎等のアーカイヴを構築・公開し、今では13を数えるまでに充実。国内外から日々、資料閲覧のために来訪する研究者を迎えています。

他方、2002年に新発足した「美術品管理運用委員会」では管財部とともに事務局を担い、一貫教育校も含む全塾の美術品や建築物の調査研究のほか、その保存修復等について専門的見地からの助言や指導等を通じて運営を支えています。

さらに、2011年9月、三田正門向かいの南別館1階に、小規模展示室「アート・スペース」が新設されました。アート・センターが展覧会の企画・運営を担うこととなり、同別館2階に移転して今に至ります。2013年10月、博物館法の博物館相当施設として指定され、塾生の博物館学芸員資格取得に必須の実習施設となった一方で、塾内の学校教育に留まらず、小さいながらも塾外に開かれた大学ミュージアムとしての役割も果たしています。(博物館法改正により、再申請を準備中)

アート・センターを取り巻く環境も様々に変化していますが、設立趣意にある「芸術と現代社会の関係についての探求」は、これからもさらに続いていきます。

 

(アート・センター事務長 小島与志生)

 

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。