BBC NEWS JAPAN より
人種差別するファンのいるチームは「試合を没収」=FIFA会長
![人種差別を訴えたACミランのゴールキーパー、マイク・メニャン選手](https://ichef.bbci.co.uk/news/640/cpsprodpb/16E71/production/_132390839_a394bc9a-8eb9-4322-aec3-0ebb019091c2.jpg)
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人種差別を訴えたACミランのゴールキーパー、マイク・メニャン選手
国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長は、欧州のリーグで20日に人種差別に絡む「到底許し難い」出来事が続いたとし、そうした差別をするファンのいるチームの試合を自動的に没収すべきだと主張した。
インファンティーノ会長は、FIFAがX(旧ツイッター)に投稿した声明の中で、差別に対して厳罰を設けるべきだと主張。
「人種差別をし、試合を放棄させたファンがいるチームには、3段階のプロセス(試合の中断、再中断、放棄)に加え、自動的な没収試合を適用する必要がある。人種差別主義者に対しては、世界的なスタジアム入場禁止と刑事告発の手続きを取らなくてはならない」とした。
また、「FIFAとサッカー界は、人種差別やあらゆる形態の差別の被害者に全面的な連帯を示す。はっきり言う。人種差別は許さない! いかなる差別も許さない!」と強調。
差別はサッカーや社会の一部ではないと若い世代に理解してもらうため、学校教育から始める必要があると主張した。
セリエAでの人種差別行為
イタリア・セリエAでは20日、ACミランのゴールキーパーで、フランス代表でもあるマイク・メニャン選手(28)が、対戦相手のウディネーゼのホームスタジアムの一部から、人種差別的な「サルの鳴きまね」が聞こえたと報告。
これを受け、チームメートらがピッチを離れ、試合は一時中断された。その後、選手らは戻り、ミランが3-2で勝利した。
メニャン選手はACミランのテレビメディアで、「サッカー界であってはならないことだが、残念なことに長年、こうしたことが繰り返されている」などと訴えた。
「カメラを設置し、制裁を科すなど、状況を変えるには何か手を打たなくてはならない」
「全員で対応しなくてはならない。何かしないと、こんな形でプレーなどできない」
ミラノを本拠地とするACミランと、ライバルのインテルはともに、メニャン選手への支持を表明。セリエAも「あらゆる人種差別を非難する」と声明を出した。
イギリスでも
一方、英イングランド・プレミアリーグ直下のディビジョンのEFLチャンピオンシップでも20日、コヴェントリーのケイシー・パーマー選手が、対戦したシェフィールド・ウェンズデイのホーム(ヒルズバラ・スタジアム)で同様の罵声を浴びたとされた。
マッチオフィシャルは両チームの監督と協議。その間、試合は数分間中断された。最終的にはコヴェントリーが2-1で勝利した。
現地のサウス・ヨークシャー警察は捜査に着手。「両クラブやウェスト・ミッドランズ警察と協力して状況を把握し、関係者を特定する」とした。
ウェンズデイは、観客席にいた人が人種差別的なジェスチャーをしたのを確認したと説明。「罪を犯したとされた」人は「可能な限り厳しい制裁」を受けるだろうとした。
一方、差別を訴えたパーマー選手は、サッカーの状況が変わるかどうかについて、あまり期待していないと話した。同時に、「人種差別はみっともないことだ。(中略)サッカー界はもちろん、世界のどこにも居場所はない」とXに投稿した。
「私は黒人で、誇りをもっている。自分の子ども3人もそのように育てている。正直言って、どんなに努力しても状況は変わらないように感じる」
「サルの鳴き声をまねる数人のファンが、ファン全体を定義するわけではない。私に向けられる愛と支援をありがたく思っている」
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差別に反対する団体「キック・イット・アウト」も、パーマー選手とメニャン選手を支持している。
「問題行動をした人を罰するのは当局とクラブだが、クラブが問題発生を防げないなら、クラブも結果責任を負うべきだ」
「FIFAが求めているように、より強力で意味のある処罰を歓迎する」
「この問題を解決するのは選手たちではない。本来そうあってはほしくないが、選手たちはすでに極度の苦痛と精神的外傷を受けながら、勇気を示している。言葉ではなく、行動によるサポートが必要だ」