【解説】 台湾総統選、なぜ重要なのか | ねぇ、マロン!

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BBC NEWS JAPAN より

【解説】 台湾総統選、なぜ重要なのか

ケリー・アン、BBCニュース

選挙集会で候補者を応援する台湾の有権者たち

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選挙集会で候補者を応援する台湾の有権者たち。2300万人が暮らす自治島の民意の行方を、世界中が注目している

台湾で13日、総統選が投開票される。人口2300万人の自治の島に世界の目が注がれる。

総統に選ばれた人物は、台湾と中国、および台湾とアメリカの関係を形作る。米中がアジアで覇権を争うなか、台湾は大きな火種となっている。

今回の総統選は、台湾の近隣国や日本などの友好国にとっても重要な意味を持つ。そうした国々は、南シナ海における中国の強引な動きを警戒している。

中国との関係を占う

台湾の多くの有権者が高い関心をもっているのが中国問題だ。中国人民解放軍(中国軍)は昨年、台湾の防空識別圏に記録的な数の「侵入」をしており、台湾への圧力を強めている。

中国は長年にわたり、台湾の領有権を主張している。双方の関係は、台湾で民主進歩党の蔡英文総統が政権を握ってきた近年、特に悪化している。

蔡氏は慎重ながら揺るぎない姿勢で、台湾の主権を主張。これを受けて中国は、台湾との正式な連絡を停止した。中国はこの措置について、台湾と中国は不可分であり、ゆくゆくは統一されるという「一つの中国」の原則を台湾が受け入れないからだと説明している。

2022年にナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が台北を訪問した際には、中国は激しい怒りを表明。状況は悪化した。中国は台湾海峡を封鎖するように、入念な軍事演習を実施。アメリカは同年、中国の習近平国家主席が統一のスケジュールを早めたとの見解を示した。

この間、台湾はアメリカに接近。数十億ドル相当の新たな兵器を手に入れた。

今回の総統選では、1月2日に世論調査が禁止されるまで、民進党の頼清徳副総統が最有力候補と目されてきた。その頼氏を中国政府は深く嫌っている。活発に発言していたかつての姿から、中国は頼氏を台湾独立派とみている。ただ、本人は現在、そうした見方は正しくないとしている。

民進党が前例のない3期連続の勝利を収めれば、中国は台湾海峡で軍事的圧力を強める可能性がある。また、台湾の離島へのインターネットのケーブルや補給路を断絶させることも考えられる。

習氏と王毅外相は、必要とあらば武力で台湾を奪う用意が中国軍にはあると、繰り返し警告している。ただ多くの専門家は、本格的な戦争が起これば、経済で苦労している中国にとって大きな負担となるため、少なくとも今のところはその可能性は低いとみている。

影響は中国を超える

中国と台湾の緊張がエスカレートすれば、より大きく、危険な事態に発展する恐れが高まる。周辺海域ではアメリカが大きな存在感を示し、南はオーストラリアから北は日本に至るまで多くの基地を置いているからだ。

中国が台湾を攻撃した場合、アメリカはどのような形で支援するのか、まだ明確にしていない。また、この地域で最も多くの米兵を駐留させている日本が、自ら戦うのかも不明だ。

平和への願いを込めたランタンを飛ばす台湾の人々(新北市)

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平和への願いを込めたランタンを飛ばす台湾の人々(新北市)

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アメリカは参戦の可能性を示すことが、中国による侵攻の抑止につながると期待している。多くのアナリストは、中国が「平和的統一」という言葉を繰り返し使っている点を指摘。中国もまた紛争を避けたがっていると分析している。

これらの多くの可能性と、協力国との関係――とりわけ、ドナルド・トランプ氏が大統領になれば変わる可能性が高いアメリカとの関係――への対処が、台湾の次期総統には求められる。

アメリカは、総統選で野党・国民党が勝利すれば、台湾に対する中国の影響力が増す可能性があるとしている。一方で、与党候補の頼氏が総統になることについてもアメリカは憂慮していると、アナリストらは話す。

世界経済に影響も

もし台湾で戦争が起これば、人的被害と民主主義への打撃はともに壊滅的となるだろう。

世界経済にも甚大な損害が及ぶ。台湾海峡は世界のコンテナ船の半数近くが毎年通過する、国際貿易の重要な拠点だ。

台湾はまた、自動車や冷蔵庫、携帯電話など、現代生活を支える半導体のほとんどを製造している。これが途絶えれば、世界のサプライチェーンはまひする。中国に制裁を科したところで、世界経済へのダメージは悪化するだけだ。

いくつかの試算によれば、中国の貿易が完全にストップした場合、世界の付加価値貿易は2.6兆ドル(約377兆円)減るという。これは、世界各国の国内総生産(GDP)を合わせた額の3%に相当する。

台湾にとって中国は、最大の脅威であると同時に、最大の貿易相手でもある。中国との関係修復は、誰が台湾を治めようと、その人にとっての最重要課題となる。一方、生活費と雇用は、今回の選挙における主要な国内問題となっている。

アナリストらは、選挙の結果、行政府と立法府が別々の政党によってコントロールされる分割政府が誕生すると予想している。政治が膠着(こうちゃく)状態に陥る恐れはあるものの、経験豊富な民進党と力の弱い国民党が、経済活性化と中国との平和維持の間で適切なバランスを取るのではないかと期待する声も出ている。

(英語記事 Why the Taiwan election matters

 

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