【解説】 政府閉鎖、なぜアメリカでだけ頻繁に起こるのか | ねぇ、マロン!

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BBC NEWS JAPAN より

【解説】 政府閉鎖、なぜアメリカでだけ頻繁に起こるのか

ロビン・レヴィンソン・キング、アンソニー・ザーカー、BBCニュース

The US Capitol at dawn with less than two days left before a likely government shutdown in Washington, DC, USA, 29 September 2023.

画像提供,EPA-EPE/REX/SHUTTERSTOCK

アメリカでは過去40年強の間に、10回の政府閉鎖を経験している。だが他の国では、戦争や憲政上の危機に陥っても、政府は機能し続ける。政府閉鎖というアメリカ独特の現象は、なぜ起こるのか?

世界のほとんどの国にとって、革命や侵略、災害などの結果として起こる政府閉鎖はとても悪いニュースだ。それに対して、地球最強の国のひとつの指導者たちが、公共サービスを停止し、経済成長を低下させるような危機を意図的に引き起こしたことは、多くの人を驚かせている。

米連邦議会は9月30日、10月1日から45日間の予算執行を可能にする「つなぎ予算」案を可決し、政府閉鎖を回避した。しかし、これは要するに、議員たちがまた駆け引きを再開しなくてはならないという意味だ。そして、今回決まったつなぎ予算が底をつけば、アメリカはまたしても政府閉鎖の危機に直面しかねない。

どうしてこうした状況が起こり続けるのか。

予算法の解釈がきっかけ

アメリカの連邦政府では、個々の政府部門を別々の政党がコントロールすることが可能だ。これは、アメリカ建国当時の為政者たちが、政治に譲歩と熟考を促すために築いた構造だが、最近では逆効果につながっている。

この発端は、ジミー・カーター大統領時代の1980年、当時のベンジャミン・シヴィレッティ司法長官が、「1884年不足金禁止条項」に狭義の解釈を付け加えたことによる。

19世紀に制定されたこの予算法は、政府が議会の承認なしに契約を結ぶことを禁じている。制定から100年近くの間は、支出が予算を上回った場合でも、政府は必要な支出を続けられた。だが1980年以降、政府は予算がなければ支出できないという、より厳格な方針を取ることになった。

この解釈のため、アメリカは他の大統領制民主主義の国とも一線を画すことになった。たとえばブラジルでは、予算が暗礁に乗り上げている間でも、強力な政府はその機能を継続できるだけの権限を持っている。

アメリカの初めての政府閉鎖は、1981年に起きた。ロナルド・レーガン大統領が予算案を拒否して発生し、数日続いた。それ以来、少なくとも10回の政府閉鎖が起きており、期間は半日から1カ月以上とさまざまだ。最も最近の政府閉鎖は、ドナルド・トランプ政権下の2018年12月21日から2019年1月25日にかけてで、これまでで一番長かった。

政府閉鎖中は、社会安全保障や軍といった重要な公共サービスが停止するだけでなく、数十万人の政府職員の給与が支払われなくなる。トランプ政権下のホワイトハウスは当時、給与支給停止が1週間続くごとに国内総生産(GDP)成長率が0.1ポイント低下すると試算していた。

なぜ他の国では起こらないのか

世界の他の国々では、こうした形の政府閉鎖は実質的に起こり得ない。

欧州の民主主義国家の大半が採用している議会制では、行政府と立法府が同じ政党または連立政府によってコントロールされるようになっている。

理論的には、首相が提出した予算案を議会が否決することも考えられるが、そのようなことをすれば、おそらく選挙につながる。国立公園の営業や税還付、食料支援プログラムといった公共サービスの停止にはならないはずだ。

2011年にはカナダで、まさにこうなった。当時のスティーヴン・ハーパー首相率いる保守党(少数与党)が提出した予算案を、野党が否決した際のことだ。下院はその後、不信任決議を可決し、解散総選挙になった。しかしその間、政府機能はいつも通り、着実に続いた。

2010年から2011年にかけて589日にわたり政権が成立しなかったベルギーでさえ、公共交通機関は動き続けていたのだ。

最近の例では、アイルランドが2016年から2020年まで、少数与党の政権下で、信任・供給制度(野党が予算案や信任投票を支持することに同意する制度)で運営を維持することに成功した。

しかしこうした協力体制は、アメリカではむしろ異例で、最近ではますますまれなことになっている。

アメリカの政党は、対立政党から譲歩を引き出すための切り札として、政府の日常機能を利用することにも、何らためらいがないように見える。今回の政府閉鎖危機も、野党・共和党で少数派の保守強硬派議員が、党内中道派や与党・民主党が支持しないような大幅な歳出削減を要求した結果だった。

連邦議会は30日にようやく合意に達したが、ウクライナへの追加援助は盛り込まれないという大きな但し書きがついた。

45日間のつなぎ予算の期限は刻々と迫っている。どのような新たな合意がその間に成立するのか、そもそも合意など可能なのか。それはまったく未知数だ。

(英語記事 Why government shutdowns seem to only happen in US

 

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