BBC NEWS JAPAN より
バイデン氏の自宅からも機密文書 米司法省が特別検察官を任命
ジョー・バイデン米大統領の私的オフィスなどから副大統領時代の機密文書が見つかった問題で、メリック・ガーランド米司法長官は12日、ドナルド・トランプ前政権で連邦検事を務めたロバート・ハー氏を特別検察官に任命し、捜査を進めると発表した。
ガーランド司法長官によると、2セット目となる機密文書が昨年12月20日、デラウェア州ウィルミントンにあるバイデン氏の自宅でも見つかっていた。さらに今月12日朝、バイデン氏の弁護士から捜査当局に電話があり、同氏の自宅で別の文書が見つかったと知らされたという。
バイデン氏の関係先で最初に機密扱いの可能性がある文書が見つかったのは、昨年11月2日とされる。バイデン氏側によると、首都ワシントンのシンクタンク「ペン・バイデン・センター」にあった事務所の鍵のかかった戸棚から、同氏がバラク・オバマ政権で副大統領だった時期の文書を10点ほど発見。書類は米国立公文書館に移したという。
イリノイ州北部地区連邦検事のジョン・ラウシュ氏が最初の調査を行った後、ガーランド司法長官は「異例の事態」を理由に、バイデン氏の文書の取り扱いを調べるための特別検察官が必要だと判断した。
「この任命は、とりわけセンシティブな問題において独立性と説明責任の両方を確保し、事実と法律のみに導かれた議論の余地のない決定を下すという、当省の責任を一般市民にはっきり示すものだ」と、ガーランド氏は述べた。
特別検察官に任命されたハー氏は、「公正、公平かつ冷静な判断で」この問題を調査していくと述べた。同氏はトランプ政権時代にメリーランド州の連邦検事を務めた。
ホワイトハウスは、捜査にバイデン氏は全面的に協力するとしている。
バイデン氏の特別顧問を務めるリチャード・サウバー氏は、バイデン氏は司法省の調査に全面的に協力しており、今後もそうするつもりだとした。
「我々は徹底的な調査で、不注意によりこれらの文書の置き場所を誤ったこと、そして大統領とその弁護士がこの間違いを発見したときに迅速に行動したことが示されると確信している」
この件に詳しい情報筋は、BBCがアメリカで提携するCBSに対し、いまのところ調査には、機密文書がどのように扱われていたかを知っている可能性のある人物への聴き取りが含まれていると語った。
「真剣に受け止めている」
バイデン氏は12日朝、記者団に対し、自身の弁護士が見つかった文書について当局に知らせたことや、自身がこの問題を真剣に受け止めていることを改めて強調した。
さらに、新たに見つかった文書は鍵のかかったガレージの中で、愛車の1960年代製シボレーコルベットの隣に置いてあったとし、「道端に置かれていたわけではない」と付け加えた。
バイデン氏の特別顧問サウバー氏は、バイデン氏の自宅ガレージで追加調査を行ったところ、「私的な書類や政治関連の書類が見つかり、その中に機密扱いの表示があるオバマ政権時代の記録が少量含まれていた」と説明した。
弁護士らはデラウェア州リホボスビーチにあるバイデン氏の別荘も調べたが、新たな文書は見つからなかったという。
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安全保障への影響は
バイデン氏は現在、新たに発見された文書の中にアメリカの国家安全保障を脅かす機密情報が含まれているのではないかとの疑念に直面している。
ケヴィン・マカーシー下院議長(共和党)も、この問題が発覚した際に懸念を示していた。
「彼らは(米中間)選挙前にバイデン大統領にこのようなことが起こっていたことを把握していたのに、アメリカ国民には隠し続けていた」とマカーシー氏は述べた。
トランプ前大統領も昨年、フロリダ州の邸宅に任期中の機密文書を持ち込んでいたことが発覚し、米連邦捜査局(FBI)などの捜査を受けている。
FBI捜査官は昨年8月、私邸兼リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」を家宅捜索し、国立公文書館に引き渡していない政府文書1万点以上を押収した。これには「最高機密」と指定された文書18点など約300点の機密文書も含まれる。
捜査当局はトランプ氏が文書の回収を妨害したり、政府資料を破棄するなどして連邦法に違反したかどうかを調べているとしている。トランプ氏はいかなる不正行為も行っていないと主張している。
(英語記事 Special counsel appointed to investigate Biden files)
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