バーナード86と散開星団NGC6520
双眼鏡でも空の暗いところではふたつとも見ることができる。バーナード86はα17h45m.2 δ-19°59′
画面から少々目を離してながめると,微星をびっしり敷きつめたようないて座の天の川の中に,7等級のオレンジ色の星に接した暗黒部分バーナード86と,若く青白いまばらな輝きの散開星団NGC6520のふたつの姿が浮かびあがってくる。バーナード86の暗黒部分は微星がないのではなく,じつはずっと手前に光を通さない微塵粒子のかたまりがあって,後方の微星の光をかくしてしまっているというのがその正体である。小さくて暗いこのしみはグロビュールとよばれ,“星の胞子”といったものとみられている。原始星誕生のためのいわば“星の卵”といった存在なのである。ただ,絶対温度で約1げという星間空間では最も冷たい天体のひとつであるため,バックに光り物がないとその存在を知ることができない。このバーナード86は幸運にも天の川の微星を背景にその存在を”見る“ことができるわけである。グロビュールは一様に不透明ではなく,いくつもの星の卵のつらなりのような印象に見えている。