NGC6164-5
惑星状星雲は,望遠鏡で見ると丸く面積があり,惑星のようだというので名づけられた名前だが,実際には丸く見えるようなものは少なく,不規則な形をしたものが多い。
じょうぎ座とさいだん座の境界近くにある風変わりな形をした惑星状星雲で,その中心には超高温のHD148937星が輝いている。惑星状星雲中いちばん大きく見えるのは,距離490年のところにあるみずがめ座のNGC7293だが,このNGC6164-5は,それより10倍以上も遠くにあって,中心の実体も,NGC7293の中心星(白色矯星)の40倍も明るい。この事実から,中心星HD148937は,たったひとつの白色矯星ではなく,過去数十万年の間に,不規則に質量の放出を行なった三重連星ではないかとみられている。実際,初期の爆発で流出したガス殻は,この中心部の明るい星雲の部分から,はるかに離れた星間空間に淡くひろがっている。一方,中心の高温星のまわりに注目すると白い風船のような殻がひろがっているのがわかり,この中心星は,星の表面の大気が秒速1000km以上におよぶ激しい速度で噴出している高温のウオルフ・ライエ星ではないかとの説もある。この種の星もしばしば多重連星系になっていることがある。