木星の大赤斑周辺
大赤斑は,周囲よりずっと赤味をおびた鮮やかな色をしている。リン化水素が渦巻いて上昇し,紫外線で解離されてできた赤リンではないかとみられている。
木星の表面で最も目をひくのは,大赤斑とよばれる楕円形の模様である。
望遠鏡で発見されて以来,淡くなったり濃くなったりしながらも,じつに300年以上見えつづけている。
その正体は,大きさが地球直径の3~4倍もある巨大な渦巻で,反時計まわりに6日間でひとまわりしている。
温度は周囲の白い雲よりわずかに低い-150度前後,写真では低く見えるが,これは錯覚で,この渦巻は,まわりの領域より上昇している。
かつて,大赤斑の正体は,大気の底にある固体表面の突起状の地形で起こる上昇流とされたこともあった。
しかし,この考えは否定され,現在では,木星の巨大な台風とみる見方が一般的となっている。
ただ,どうしてここ1か所だけにこんな巨大な上昇気流の渦があるのかは,いぜん大きなナゾとされている。
木星面を詳しく見ると,この大赤斑のほかにも,大小さまざまな渦があるのがわかる。
木星の表面は地球ほどの複雑さがないため,地球の台風とちがって,いったんできた渦の寿命は何年も長つづきする。