5/21(火)参議院国土交通委員会で 田村智子 参議院議員・日本共産党委員長が、「都市における樹木の保全について」質問、ネット中継で視聴しました。

 

委員会では「都市緑地法改定案」の審議が行われ、即日採決。反対意見を述べたのは日本共産党だけでした。

賛成多数で可決後、賛成した自民党や立憲民主党などが共同して「付帯意見」を提出、採択されました。

長い「付帯意見」を聞いて、こんなにいろいろな意見ををつけなくてはならないほど問題のある法案だったのではないかと思いました。

 

 

  

神宮外苑

 

  

日比谷公園              葛西臨海水族園

 

田村智子参議の審議内容の主旨は、当日の「主張」にまとまっていたので、今後の参考として保存掲載します。

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2024年5月21日 しんぶん赤旗 「主張」

都市緑地法改定案 緑地確保口実に巨大開発支援

 全国各地で、樹木の大量伐採計画が、住民への十分な説明もないまますすめられています。

 東京都内では、3000本もの樹木伐採計画のある明治神宮外苑をはじめ都心部での超高層ビルの建設ラッシュ、樹木伐採を伴う再整備計画が目白押しです。

 大阪市では、倒木のおそれなどを理由に、公園や街路樹など約1万9000本もの木を伐採する事業がすすんでいます。

 ところが今国会には、現在進行中の樹木伐採に歯止めをかけないばかりか、「緑地確保」を口実に、民間事業者による都市の大規模再開発を国が前面に立って推進する都市緑地法改定案が提出され、21日、参院で審議入りします。

■国が無利子で融資

 法案は、民間事業者が作成する「優良緑地確保計画」を国が認定する制度を創り、認定された事業に国が無利子で貸し付けを行うというものです。また、民間による大規模再開発の際に「都市の脱炭素化に資する」事業を国が認定し金融支援します。巨大開発事業を国が優遇するものです。

 「緑地確保」と言うものの、屋上庭園や高層ビルの外壁への植え込み、芝生なども緑地面積になります(緑被率)。一方、茂った樹木が切られ緑の体積(樹冠被覆率)は減ります。神宮外苑再開発でも緑被率は増えますが緑の体積は減ると事業者が認めています。

 実際、再開発で樹木が大量伐採されようとしています。東京の日比谷公園周辺の再整備計画では1000本、葛西臨海水族園では1400本もの木が切られたり移植され危機にひんしていると指摘されています。

 背景には、開発区域での一定の緑地確保が国際標準となり、都市間競争を勝ち抜いて世界から人・金が集まる街にするために緑地確保が必要とされていることがあります。国が大規模再開発に「緑地確保」のお墨付きを与え資金援助して、投資を呼び込み、都市部の開発を一層進めやすくするのが真の狙いです。

 環境・国交両省の脱炭素都市づくり大賞や国交大臣賞を受賞した東京・森ビルの麻布台ヒルズは敷地の3割を「緑地化」した一方、地元住民を追い出し超高層ビルを建て超富裕層しか住めない街になっています。

■住民参加を弱める

 現行法は、「緑の基本計画」策定の主体を住民に身近な市町村としています。しかし改定案は、国に基本計画の方針策定を義務付けるとともに、都道府県が広域計画を策定できるようにします。市町村の取り組みが国や県に縛られ、言いなりにされかねません。

 重大なのは、「緑地機能の維持増進」を民間任せの事業にし、民間事業者が実施する際に都市計画決定や事業認可の手続きを簡素化して住民の意見を反映するプロセスを省くことです。

 神宮外苑をはじめ多くの再開発では、住民への情報公開や、計画策定への住民参加の手続きがないがしろにされてきました。法案は、さらに住民の関与を弱めるものです。

 いま必要なのは緑地保全のための規制の強化です。政府は緑地確保を言うなら、情報公開と計画段階からの住民参加のための法整備を強化し、樹木の大量伐採を中止させるべきです。