都議会で、3月25日、都立病院条例の廃止や、東京都が直接医療を提供する病院事業の廃止条例など、都立・公社病院を独立行政法人化する議案が可決されてしまいました。

 

都立・公社病院を守れと求める運動が広がり、署名は、累計35万人を超えています。

都民、職員の理解、合意は得られていません。
このような状況で、しかもコロナ禍のさなかに、独法化を強行することは、断じて許されません。

 

中央区議会定例会の最終日、3月30日の幹事長会で、日本共産党区議団が提出した「都立・公社病院の独立行政法人化の中止を求める意見書(案)」の取り扱いについて協議しました。

 

私は「都立・公社病院の独法化は、都議会で3月25日に可決されてしまったが、だからこそ、区議会から、独法化中止の声をあげていくことが重要。独法化により、都立病院の職員6838人がまるごと定数削減されてしまう。独法化の本質は、行革推進法による地方公務員の削減、財政支出の削減にあることは明らか。都民の命を守るために大きな役割を果たし、コロナ対応でも奮闘している都立・公社病院は存続させるため、独立行政法人化を中止するよう求める意見書に賛同ください」と表明しました。

 

しかし、自民・公明・立民など5会派から、「独法化後も東京都はこれまで通りの財政支援をしていくと聞いている」「2018年に有識者の会議で検討がなされ、『独法化に移行すべき』という提言が出された」「コロナ禍の中での独法化は慎重に運ぶべきだが、意見書の提出は見送り」などの意見が出され、全会派一致とならず、本会議に上程されませんでした。

本当に残念です。

 

 

意見書全文・・・・・

「都立・公社病院の独立行政法人化の中止を求める意見書(案)」

 

東京都は2022年7月、民間医療機関では採算がとれず、担い切れない医療を提供している都立・公社病院の独立行政法人化への移行を予定していますが、東京都の財政支出を減らす目的のために、医療を後退させてはなりません。

 

既に独立行政法人化した公立病院や国立病院では、経営効率化が強く求められ、廃止や病床数の削減が行われてきました。

2009年4月に先行して都立病院から独法化された健康長寿医療センター(旧老人医療センター)では、ベッド数が1000床も削減され、141床では新たに差額ベッド代が徴収されるようになり、入室時に10万円の保証金も必要になるという事態が起きています。全国でも独法化により、病院への運営交付金が大幅に削減され、職員賃金の削減や分娩代の2倍化など、医療従事者と患者へのしわ寄せが起きています。

 

現在、東京都には都直営の都立病院が8つ、都立に準じる都保健医療公社の病院が6つありますが、全国2287病院中、新型コロナウイルス対応病床確保数では、都立多摩医療センターの245床の第1位を筆頭に、上位11病院を都立・公社病院が占めています(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対策に係る各医療機関内の病床の確保状況・使用率等の報告」)。第5波では2000床をコロナ対応にあて、都内の同病床の3割に上りました。

 

コロナ禍で都立・公社病院の果たす役割の重要性がこれまで以上に鮮明になっています。

都民の命を守るために大きな役割を果たし、コロナ対応でも奮闘している都立・公社病院は存続させるべきです。

 

よって、中央区議会は、東京都に対し、都立・公社病院の独立行政法人化を中止するよう求めるものです。

右、地方自治法第九十九条の規定によって、中央区議会の総意を持って意見書を提出します。

 

東京都知事 あて

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