今注目の気候危機打開を打開する日本共産党の2030戦略。

9月24日の本会議質問で、この提言を紹介しながら、中央区のゼロカーボンシティ宣言について質問しました。

気候危機を打開する日本共産党の2030戦略│環境・エネルギー・原発│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp)

 

質問全文(質問項目)と区長答弁(要旨)を紹介します。

注:わかりやすく、質問の後に答弁を表示しました

 

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3.気候危機打開について

 

 次は、地球規模での気候危機打開についてです。

現在気候危機とよぶべき非常事態が起こっており、すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。新型コロナウイルス、エボラ出血熱、エイズなどの新しい感染症が次々と出現し、人類社会の大きな脅威となっていますが、この背景にも、森林破壊をはじめとした環境破壊、地球温暖化があります。

 IPPC(国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change))は、今年8月、新たな報告書(「1.5度特別報告書」)を発表し、「人間の影響が温暖化させてきたことにはもはや疑う余地はない」としました。そして、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO2)の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしています。

 すでに世界の平均気温は1.1~1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くありません。10年足らずの間に、全世界のCO2排出量を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。

 

 日本共産党は、9月1日、世界の科学的知見の到達点、日本の環境団体や専門家の研究と提言を踏まえて、「気候危機打開のための日本共産党の2030戦略」を発表しました。

 その特徴は1、削減目標は、2030年度までに、2010年度比で50%~60%削減するとしています。省エネでエネルギー消費を40%削減し、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、達成可能だということを示しています。

 2、具体的プランとして、電力、産業、運輸、都市、住宅など、社会のあらゆる分野の大改革を具体的に提案しています。脱炭素・省エネ・再エネの先にあるのは、経済が停滞・衰退した「さみしい社会」ではありません。ある研究グループの試算では、大規模な省エネ・再エネによって、2030年までに、年間254万人の新たな雇用が増え、GDP(国内総生産)を累積205兆円増やすことができるという展望が明らかにされています。

 3、気候危機の打開は、貧困と格差をなくし暮らしをよくすることと一体のものとして取り組んでいくという提言です。

 

 中央区は、今年3月、「ゼロカーボンシティ中央区宣言」を第一回区議会定例会において決議し、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことを宣言しました。

 宣言では「わたしたちは日々のくらしや命さえもおびやかされる危機に/直面しているのです/残された時間は多くありません/今こそ行動をおこすときです」と謳っています。

 今後「中央区環境行動計画2018」の見直しを2023年(令和5年)3月予定で行い、ゼロカーボンシティ達成に向けての新たな施策の推進を図るとしています。

 

 そこで質問します。

第1に、「中央区環境行動計画2018」では、CO2排出量を2030年度まで に2013年度比で21%削減としていますが、目標の引き上げが必要です。

政府が、4月に発表した2030年度の削減目標は「2013年度比で46%削減」ですが、これは2010年比にすると42%減であり、国連が示した「45%減」という全世界平均よりも低い、恥ずかしいものです。

「中央区環境行動計画2018」の見直しの際、2030年度までに50%~60%削減する目標に引き上げることが必要だと考えます。いかがですか。

 

区長答弁(要旨)

 中央区環境行動計画2018は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「地方公共団体実行計画(区域施策編)」を含んでおり、現在の2030年度の削減目標は実行計画の中で設定されているもの。削減目標は、国の目標値を踏まえた数値に設定する必要がある。

 中央区環境行動計画2018の見直しについては、環境行動計画推進委員会において作業をすすめる。

 

第2に、目標にふさわしい具体的な計画をたて、推進していく必要があります。

区内事業所と省エネ・再エネに向けた協定をすすめることや、断熱・省エネルギー住宅へのリフォーム、太陽光発電用パネルの設置などへの助成を大幅に拡充し、省エネの取り組みをそれぞれの目標をたてて強力に進めていくよう求めます。いかがですか。

 

第3に、中央区が脱炭素化を進めるうえで重要となるのはまちづくりの分野です。

区内各所で進められている再開発について区長は、「床の集約により都市のコンパクト化が図られ、最新の省エネ、再エネの活用などで都市全体の温室効果ガス排出量の削減につながる」としています。しかし、「床の集約」どころか、延べ床面積が何倍にも増え、「都市のコンパクト化」に逆行する「都市の巨大化」が進んでいます。

CO2排出量を何倍にも増やす巨大開発は止め、公共建築や大規模な市街地再開発事業などで、建物の規模を抑え、少なくともCO2排出量を再開発前より削減する計画にするべきです。また、太陽光パネルで消費エネルギーがまかなえる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」にしていくなど、脱炭素化を強力にすすめるまちづくりに転換することを求めます。いかがですか。

 

区長答弁(要旨)

市街地再開発事業は、地権者が共同して土地の高度利用を図ることで、都心にまとまった広場や緑地、防災機能を整備しながら、省エネ性能の高い建築素材や設備を導入した建物に建て替えていくもの。事業完了後に床が省エネ性能の高いものに置き換わり、都市全体でのエネルギーの総量は徐々に減少していくと考える。

 加えて、ネット・ゼロ・ビルについてもまちづくり基本条例や市街地再開発事業指導要綱による最新技術導入への誘導によって、推進できると考える。

 

第4に、ゴミの焼却熱、河川水の外気温との差による未利用熱等を熱エネルギー源として利用することを、目標をもって進めるべきです。いかがですか。

それぞれお答えください。

 

区長答弁(要旨)

 これまでも清掃工場のごみ焼却熱で発電した低炭素電力の使用や、保健所等におけるコージェネレーションシステムによる明石町地区地域冷暖房など、未利用エネルギーの活用をすすめてきた。

 2050年ゼロカーボンシティの実現に向け、今後も未利用エネルギーの活用を推進していく。

 

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CO2排出量を何倍も増やしてしまう巨大開発優先のまちづくりの転換を求めましたが、いつも平行線です。

これでゼロカーボンシティが実現できるのでしょうか。