オリンピック開会まであと31日。

菅首相は「安全・安心な大会の実現」と繰り返すばかりですが、テレビ朝日(ANN)の調査では、「安全・安心な大会」を実現できると「思わない」は66・8%で、「思う」の19・2%を大きく上回っています。

 

1カ月後に迫る五輪開催の是非は、「朝日」とANNの調査でともに「中止」と「再延期」を合わせ6割超。

日本共産党は、〝五輪より命″と訴えています。

 

 

17日に行われた本会議質問で、日本共産党区議団の奥村あきこ議員は、「区民の命を守る立場から、組織委員会、東京都に対し、東京五輪・パラリンピックを中止するよう求めよ」と山本泰人区長に質問しました。

 

質問全文と、区長の答弁(要旨)を紹介します。

わかりやすくするために、質問ごとに答弁を掲載しました。

 

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【奥村あきこ 質問】

 

 東京五輪・パラリンピック開催について質問します。

 

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「今の状況でやるというのは普通はない」と国会で答弁するなど、多くの専門家が東京五輪・パラリンピック開催による感染リスクの増大を警告するなか、菅義偉政権はこうした警告を無視し、感染症専門家にリスク評価を諮問することもなく開催に突き進んでいます。

 

 6月11日、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、観客や大会関係者など来訪者が1日最大約34万人となることを公表し、大会を開催した場合には都内で8月末に新型コロナウイルスの新規感染者数が1000人程度となるという試算も明らかにしました。大会では各地から来訪者が集まるため、感染が全国に広がる危険性もあります。

 菅義偉首相は、選手らの感染対策を徹底するから安全は確保できると主張して開催を正当化していますが、入国時の検疫で陽性と判定されなかった人がその後発症した例があり、「水際対策」には漏れがあることが分かっています。選手、大会関係者、メディアなど五輪関係者に対し入国後14日間の行動制限が取りはらわれることも大問題です。また、日本人についても、選手以外の五輪関係者、メディア関係者や大会業務にかかわる人の検査に穴が開いていることも明らかになっています。

 選手やコーチらに向けた「プレイブック」の最新版が6月15日に公表されましたが、このプレイブックのっとり選手村内で感染対策がとられたとしても、競技場会場や野外で行われるマラソン、自転車競技などもあり、大勢の観客を集めるライブサイトやパブリックビューイングが各地に設けられます。国内で人流が増大すれば、感染拡大や医療提供体制に影響を及ぼすことは避けられません。

 

 とりわけ、中央区は選手村があるために大会関係者やメディア関係者、観光客、ボランティアなどの往来の影響も計り知れません。

 デルタ株をはじめ変異株が世界中から持ち込まれ、感染爆発が起きる危険を回避し、区民の命を守るためにも、東京五輪・パラリンピックを中止するしかありません。

 

 そこでお聞きします。

 第一に、新型コロナの分科会は政府が専門家の知見をコロナ対策に生かすために設けた会議でありながら、その分科会に対し五輪のリスクについて見解を求めない政府の矛盾した姿勢をどう思いますか。国はきちんとリスクを示すべきだと思いますが、いかがですか。

 第二に、「安全、安心な大会」は本当に可能だと思いますか。大会期間前、期間中、期間後、中央区として区民の命を守るためにどのような対策がとられるのでしょうか。

 

【区長答弁】安全安心な大会に向け、国が「調整会議」をはじめ総合的に大会開催の検討を進めている。本区としては、組織委員会や東京都が万全な対策を行うよう働きかける。

 

 第三に、今、楽天グループの三木谷浩史会長やソフトバンクグループの孫正義会長など企業経営者や商工会議所の会長など財界人からも開催に反対する声が上がっています。また、野村総研は、開催をきっかけに感染が再拡大し緊急事態宣言が発令された場合の経済損失の方が、開催中止の損失よりも大きくなるという試算を発表しました。大小様々な企業を抱える中央区でも大会開催によるリスクは大きなものになると思いますが、いかがですか。

 

【区長答弁】経済的な影響は様々な評価があり、感染拡大につながらない大会運営が推進されるものと考える。

 

 第四に、選手村内で新型コロナの感染者が出た場合には組織委員会か対応することになってはいるものの、国に届ける文書処理などの事務作業や区内ホテルに滞在するメディア関係者や観光客、ボランティアなどが感染した場合には地元自治体として中央区保健所が対応することになっています。また、選手村内で新型コロナ以外の髄膜炎菌やノロウイルスなどの感染症が発生すれば中央区保健所の対応となります。保健所の業務量負担は大きいと思いますが、いかがですか。

 

【区長答弁】感染法上、指定感染症は所在地の保健所が対処することになっており、大会期間中の保健所業務が増大しないよう協議を重ね、保健衛生支援東京拠点が業務の一部を担うことになったため、負担は軽減されたと認識している。

 

 第五に、昨年11月の区議会第四回定例会の一般質問の答弁では、保健所職員の残業時間時間について、最高で月198時間と過労死ライン80時間を大幅に超えており、職員平均では月68時間が最高というものでした。その後の残業時間はどのようになっていますか。

 今でも新型コロナ対策、ワクチン接種で大変な保健所に五輪対応でさらなる負荷を課すことになります。問題はないとお考えですか。

 

【区長答弁】保健所職員の残業時間は平均としては減少している。大会期間中想定していない事態が生じたら、全庁的な応援体制を組んで対応する。

 

 第六に、五輪開催に医師や看護士、救急車などが動員され、医療がさらに逼迫すれば、区民も直接、影響を受けると思いますが、いかがですか。

 

【区長答弁】大会にかかる医師や看護師は独自に確保されているから、地域の医療体制に影響はないと考える。

 

 第七に、人流をとめ、密を防ぐ観点から、浜町公園で行われる聖火リレーにかかわるセレブレーションイベントや、区内の様々なスポットをめぐるガイドツアーなどを行う区内回遊促進事業などを中止するよう求めますが、いかがですか。他にも区内で行われるパブリックビューイングなどはどれ位あるのでしょうか。こうしたものも中止するよう働きかけることを求めますが、いかがですか。

 

【区長答弁】区では大会期間中、銀座松竹スクエアにおもてなしセンターなどを開設する予定。コロナ対策のガイドラインを遵守して、安全な実施に向けた準備を進めている。

 

 第八に、区長は所信表明で東京五輪・パラリンピック大会について「区民生活に多大な不便が生じないよう、都、組織委員会と連携を図っていく」と述べられました。不便どころか、今、区民の命が危険にさらされる状況となっています。保健所や医療機関の負担軽減と区民の命を守る立場から、組織委員会、東京都に対し、中止するよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。

 

【区長答弁】大会の開催については組織委員会や都と連携し、安全・安心な大会の実現に努める。