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京橋図書館(左)は2022年10月に、本の森ちゅうおう(右)に移転予定。

2022年4月から指定管理者が運営し、「本の森」の開設準備も行うとしています。

 

 

10月1日、区民文教委員会で2議案が審議されました。

 

日本共産党の奥村あきこ委員は、「指定管理者の指定について(区立図書館)」の議案に対し、「図書館に指定管理者制度はなじまない」ことを指摘して、以下の意見を述べ反対しました。

 

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 議案第69号「指定管理者の指定について」の反対意見を述べます。

 本議案は、2021年4月1日から日本橋図書館及び月島図書館に、2022年4月1日から京橋図書館に指定管理者制度を導入し、指定管理者に株式会社図書館流通センターを指定するものです。

 指定期間は日本橋図書館及び月島図書館は6年間、京橋図書館は5年間となっています。

 日本共産党区議団は、これまでも区施設への指定管理者制度導入について、繰り返し問題点を指摘してきました。

 公の施設は設置主体が自ら管理するのが原則であり、特に図書館運営に指定管理者制度はなじまないと考えます。

 この間、図書館の指定管理者の指定取り消しや自治体直営に戻す例が全国でみられています。

 区はこれまで、指定管理者制度を導入している区施設について、「利用者満足度は高い」と評価していますが、例えば図書館運営を指定管理者から自治体直営に戻したところでも、指定管理者の下で行われた開館時間の延長や開館日数の増加については、継続・維持した上で直営に戻すこととした自治体もあります。

 開館時間の延長やそれに伴う分の貸出冊数の増加、加えてカウンターでの対応の改善や職員のスキルの向上などは、民間に委ねることなく、自治体の取り組みによって実現できるものであり、指定管理者でなければ利用者満足度をあげることができないという理由はありません。

 そもそも図書館は、区民館などの貸館業とは性格が異なり、教育文化の発展の基礎となる施設です。

 住民の「知る権利」や「ゆたかな学び」を保障するための施設とするためには、事業の継続性と職員の育成が不可欠ですが、指定管理者制度自体の問題として、指定管理期間が定められるもとで働く職員の雇用継続には限りがあり、その結果、職員の養成や後継者の育成は保障されません。

 また、今回、指定管理候補事業者となっている図書館流通センターは、都内の公立図書館で最低賃金にわずか67円を上乗せした1080円で非正規の契約社員を、司書資格を持つ図書館司書スタッフでさえ97円を上乗せした1110円という時給で募集している点も看過できません。

 図書館職員の労働条件が悪化すれば、やりがいを持って働くという意欲がそがれ、ひいては区民サービスの低下につながるのではないでしょうか。自治体自らが非正規化をすすめ、官製ワーキングプアを大量に作り出していく構造の転換も求められます。

図書館流通センターが指定管理者となっていた茨城県の守谷市立図書館は、2016年の開館まもなく館長と職員が相次いで退職するなどの問題があり、2019年度から市直営に戻されています。

 他にも、図書館流通センターが運営する公立図書館で、図書館カードの不正利用や個人情報保護に反する防犯カメラ映像の一般人への開示などの問題が起きている点も問題です。

 以上の理由から、日本共産党区議団は、株式会社図書館流通センターを区内3つの図書館の指定管理者に指定する議案第69号「指定管理者の指定について」反対します。