中央区議会第一回定例会は19日に終了しました。

中央区の新年度予算は、賛成多数で可決されましたが、日本共産党区議団は以下の理由で反対しました。


◆平成27年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明

 いま、日本経済は、安倍自公政権がすすめた消費税8%への増税で消費が落ち込み、2月16日に発表されたGDP(国内総生産)速報によれば、昨年1年間の家計消費はマイナス1・3%、この20年で最大の落ち込みとなっています。労働者の実質賃金は19か月連続マイナスとなり、消費の低迷も続いています。円安と株高によって大企業と大資産家は恩恵を受けましたが、国民の暮らしは悪化し、格差はさらに拡大しています。

 党区議団が行っている「区民アンケート」には、「物価が上がって、食品価格も上がって、なのに給料は変わらず、消費税は全てにかかってくるので本当につらい、死ねと言われている気がする」、「アベノミクスの恩恵は我々零細企業には及ばない」などの声が寄せられています。

国会では、自民・公明の与党が2015年度政府予算案を、衆院で通過させましたが、重大問題の第1は、5兆円を突破した軍事費(防衛関係費)です。安倍政権が進める「海外で戦争する国」づくりや沖縄での米軍新基地建設を財政的に裏付けるものとなっています。

 第2に、福祉のための社会保障予算は、高齢化などによって見込まれていた「自然増」予算にまで手をつけ、医療も介護も年金も、大幅に後退させています。消費税増税の際の「社会保障のため」という公約さえ完全に投げ捨てるものです。

 第3に、税制「改正」に盛り込まれた法人税減税は、利益が出ている大企業の負担を軽くするために赤字企業や中堅企業の負担を増やす、大企業本位のきわみです。大企業への減税は2年連続で、減税額は来年度には1・6兆円に達します。

 大企業減税、庶民増税の税制「改正」とあわせ、国民の暮らしを苦しめる「三悪予算」です。こんな予算が国民の暮らしの悪化を食い止めるどころか、経済と財政のゆがみをますます激しくするのは明らかです。

都政では、舛添都知事のもとで、予算編成の基本として「都民福祉の充実による生活の質の向上」を位置づけ、福祉、雇用、中小企業対策などで、都民要求を反映した施策の拡充がある程度図られていますが、不要不急の大型開発がひきつづき推進され、国際金融センター構想など金融機能の過度な集積による金融投機を推進することをはじめとした基本的問題があると考えます。

豊洲新市場を来年11月に開場するとしていますが、豊洲新市場計画は、土壌汚染対策の欠陥、高騰する汚染対策費と整備費、非効率的な施設・物流計画など、問題が山積しています。オリンピックにあわせて強行しようとしている築地市場移転計画は凍結すべきです。

また、オリンピック選手村計画は、地元中央区の「晴海地区将来ビジョン」を反映したものに見直し、超高層タワーマンションの建設は中止すべきと考えます。

このような国と都の悪政のもとで、中央区に求められるのは、地方自治法にもとづく「 住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。(第一条の二)」という立場にしっかりと立つことです。

中央区の新年度の一般会計予算案は、前年比83億円(10%)増となり、909億2963万円で過去最大の予算規模となっています。区長の所信表明では「オリンピック・パラリンピックで中央区の黄金時代を!!」と「2020年オリンピックを機にさらなる躍進のチャンスと捉え」るとし、オリンピックをテコにしたまちづくりを進めることに意欲を燃やし、選手村ができる晴海地区を含め、再開発事業が進行中のもの25事業、準備中が7事業、全部で32事業も進められようとしています。

新年度予算では、市街地再開発助成や学校増改築などの「投資的経費」に一般会計予算の3割=273億円をあて、昨年より33%も増額しています。市街地再開発事業助成は、新年度だけで7事業に90億円を計上、予算の1割を占めています。銀座6丁目(松坂屋跡地)や日本橋2丁目(高島屋周辺)などのオフィス、商業施設の再開発にもそれぞれ10億円以上の補助金が投入される予定です。国や都の「国際競争力を高める」都市づくり路線にのって、「都市再生特別地区」の手法により規制緩和や区道の改廃で大サービスし、超高層・超過密な都市をつくることは、災害時の危険を増大させます。オフィスの供給過剰問題が指摘されており、抜本的に見直すべきです。また、住宅系の4つの再開発事業では全部で約5350戸の住宅ができることになり、さらに人口が増え、施設整備が追いつかない事態が加速します。

 一方、こうした投資的経費の増大で、財政が厳しくなるとして、区民には、「受益者負担の適正化」の名のもとに、負担増やサービス削減を図り、新年度予算で、駐輪場の有料化、放置自転車撤去・保管料の徴収を導入しました。しかし、NTTや東京電力などの道路占用料は、区の固定資産税評価額に見合う適正な料金への改定は具体化されず、大企業に社会的責任を果たさせることには消極的です。

 また、区民には国民健康保険料の値上げが新年度も予定されています。高すぎる国民健康保険料で滞納世帯が22%にのぼるという深刻な事態であるにも関わらず、一般会計からの繰入金を現年度より12千万円以上減らし、保険料負担は6000万円増となっています。

 介護保険料も基準額で12%の引上げとなります。介護保険制度の改悪で要支援者を「総合事業」に移行する問題は準備が整わないため2年間猶予期間を設けることになりましたが、所得によって介護サービスの利用料を2割負担にする、後期高齢者医療の保険料の特例措置をなくすなど、高齢者にとっても負担増ばかりが重くのしかかります。

 福祉の増進をはかるべき中央区が、大規模開発を優先し、区民サービスの削減や区民への負担増を強いることは問題です。

 日本共産党区議団は、2014年9月26日、区民アンケートなどに寄せられた切実な要求を集約した510項目の「2015年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。

本予算特別委員会では、各款について詳細に質疑し、問題点を指摘するとともに積極的な提案を行ってきました。さらに予算修正案を提出し、第一に、区民の合意を図らず行おうとしている駐輪場有料化を中止すること、第二に、ムダを省き、簡素で効率的な区民本位の行財政運営を図ること、第三に、学校プールの一般開放、区の情報公開をいっそう促進するなど、区民にとって緊急かつ必要な施策を予算化する、という基本に立って、一般会計歳入歳出予算を6,4165千円減額する修正案を提案しました。しかし、残念ながら、他会派の賛同を得られず、わが党の修正案は否決されました。

 これらの経緯を踏まえ、区長提出の予算案を詳細に検討し、区民の長年の要望、わが党の要求、行政の努力などを反映し、認可保育所の増設、特養ホームの定員拡大、障害児放課後デイサービスの拡大、コミュニティサイクルの導入、小学校の増改築などの施策が予算化されているものの、予算内容には抜本的な見直しが求められる問題があると判断しました。


よって、日本共産党中央区議会議員団は、

・議案第28 平成27年度中央区一般会計補正予算

・議案第30 平成27年度中央区介護保険事業会計補正予算には賛成しますが、

・議案第1号 平成27年度中央区一般会計予算

・第2 平成27年度中央区国民健康保険事業会計予算

・第3 平成27年度中央区介護保険事業会計予算

・第4 平成27年度中央区後期高齢者医療会計予算

・議案第29号平成27年度中央区国民健康保険事業会計補正予算に、反対します。