グラン・トリノ GRAN TORINO | まろんぱんのあれ

グラン・トリノ GRAN TORINO

監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:ジェネット・カーン 、ティム・ムーア 、ブルース・バーマン
音楽:カイル・イーストウッド 、マイケル・スティーヴンス[音楽]
脚本:ニック・シェンク
字幕翻訳:戸田奈津子
主演:クリント・イーストウッド(ウォルト・コワルスキー)、ビー・ヴァン(タオ・ロー)、アーニー・ハー(スー・ロー)、クリストファー・カーリー(ヤノビッチ神父)、コリー・ハードリクト(デューク)、ブライアン・ヘイリー(ミッチ・コワルスキー)、ブライアン・ホウ(スティーブ・コワルスキー)、ジェラルディン・ヒューズ(カレン・コワルスキー)、ドリーマ・ウォーカー(アシュリー・コワルスキー)/etc


ストーリー
 ウォルト(クリント・イーストウッド)は朝鮮戦争に参加し、その後フォードの車工場に働いていた。そして現在は、年金生活を送っている筋金入りの頑固者だった。自分の子供や、孫でさえうまく接することができず、深い溝がある仲だった。そんなある日、ちょっとしたきっかけで隣に引っ越してきたアジア系民族一家と交流を深める。家族の長女であるスー(アーニー・ハー)を通しタオ少年(ビー・ヴァン)とも仲良くなった。タオ少年はだんだんと将来を夢見、大人へとすすむ、そしてウォルトは青春時代へと戻っていく。そしてお互いの気持ちが近くなり友達になった。しかしそこにまた従兄弟の少年ギャングがまた現れる。

まろんぱんのあれ-グラントリノ白


 そもそも最初に書いた感想 の括弧書きにいくらなんでも適当っていれていいものなのか!

さすがに慌てて再提出。


 この作品で一番すごいのは何よりもクリント・イーストウッドが凄いのです。ストーリー的にも多少ありそうな感じかもしれません。気難しい老人とシャイな少年のお話。話もたんたんと進みます。しかしそこをクリント・イーストウッドのスパイクで平坦なストーリーが名作へと進化した。何が一番凄いかといえば、すべて自然な彼の演技。目で会話をしています。目で心情を語っています。彼の気持ちが痛いほど伝わってくる。ウォルトは常に戦争で人を殺してきたことを苦悩し、強い死を意識して人生を歩んできています。そんな彼の葛藤がどんなところでもふとした瞬間現れています。しがない私が言うのもなんですが、鬼神の演技ってこういうことを言うのだと痛感しました。また、シリアスだけかと思えば、所々、笑えるところもあり、映画館からは時たま笑い声が漏れていました。この切替、そして間も絶妙で何も言うことはありません。


 この作品は、衝撃なラストが。って言われておりますが。私はそうとは思いませんでした。最後に導くストーリーは注意深く見ていけばわかる範囲だと思います。それは、この作品がとても丁寧に作られているからです。ウォルトの心の変化、また所々のイベントを考えれば。そう、当たり前ですがこの物語には無駄がありません。
ちなみに、私自身、最後どんでん返しに。という系はほとんどが??って思ってしまいます。その理由は、途中に何もネタ振りがなければ、それは普通考えないだろうって思ってしまうからです。その上、その理由をIQ180だからとか、逆にあふぉみたいな理由にするのは、はっきりいってナンセンスだと感じてしまいます。またしまいにはフェイクや無関係な物まで盛り込まれるしまつ。最近はこういう雑なだけを驚愕なラストっていうのってどうなんですかね。まぁそれもそれである意味驚愕のラストって意味にもなりますが。もちろん、この作品はそんな作品と違うため、余計に驚愕のラストって強調してほしくない、私のわがまま。


 ちょこっと、残念だったのがあまりにも少年と老人の話となっていること。確かに彼ら二人の成長物語なのですが、そこにはスーとう姉が深く関わっているのです。スーががんばったから二人が仲良くなったのだし。最初にウォルト自身の心を溶かしたのも彼女。が、あまりにも漢対漢にしたいのか、チラシや広告を見る限りあまりその辺が伝わってこない。私はむしろ、異種族の少女が差別主義の白人老人を成長させて、前を向くようにする話だとも感じました。そして彼女の弟と友達になり一緒に成長していく話だと。まぁこの辺りは、映画を見る人により七色に変化すると思います。この映画は特に見る人により違った感想がもてるのではないかと思いました。それはクリント・イーストウッドが人生の苦悩を演じているからこそ、見る方に色々と受け方が違って思えてくるのではないでしょうか。

 また、朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい性格の主人公のため、やたらと差別蔑視が多い。そのため、こういう作品は、名作だとしても賞などには選ばれにくいのではないでしょうか。また主演者もほとんどが無名の新人を起用しているため、余計に。しかし賞なんて些細なことだと作品を見ればわかることだとおもう。勿論私の心に刻まれた作品になりました。


まろんぱんのあれ-グラントリノ黒

  あえて書こう、あえて言おう。すごく気になった点。ウォルト家の前に自分の愛車であるグラン・トリノを置き、そして満足に車を見ながらビールを飲んでいるのです。えぇ、どうやって車庫にしまったのか気になって気になって仕方が無い。何本も何本も飲んでいるんですよ?そう簡単にアルコールは抜けませんから。そのまま置いて置くと車おいたされちゃいますしね。うーーん、さすがスーパーじーちゃんと言うべきか。そう、そのスーパーじーちゃんな設定なのですよ。じーちゃんながら圧倒的に強い。が、問題は、どうしてそんなに強いのか?という点がまったく語られていない。元軍人だとは語られておりますが、通常すぐに筋肉は衰えるものです。が、強い。体を鍛えているシーンや、何かしらトレーニングの会話や装置があれば、理解できました。しかし、どーみたって人生の余生をただ送っている年寄り。お酒、芝刈りが趣味みたいな爺さんに。なぜに?そんなパワーが。偏屈な爺さんの隣には異国の種族がいて。アメリカではありそうなリアリズムを感じるストーリーだけに、この明らかなリアリズム崩しのこの設定がもったいないと思ってしまった。何かしら、ちょこっとそういった理由を付け加えるだけでも納得できたものを。そう、そんな些細なところが気になるほどよかった映画でした。


結論
タオは免許を持ってない気がしてならない。

*基本的にアメリカは16歳から免許取得可能。