短歌結社を辞め、歌壇を離れて5、6年になる。
が、今頃、歌集評を研究社から依頼される。
その女性歌人の歌はメスを全面に出したようなおぞましいもので、とてもレヴューなど書けそうにないのだが、引き受けてしまった。
歌壇には妙なしきたりがあり、依頼ハガキに諾・否とあって、丸をつける。
つまり断ることもできるのである。
歌集が手元にあれば即刻断っていた。
明らかにセックスを歌った歌もあり、気持ち悪くて仕方がない。
しかし、レヴューに気持ち悪いとは書けない。
否、もはや歌壇に戻るつもりもないから、言いたいことを書いてしまうのも一興である。
基本的に褒めることになっているから、短歌はいつまで経っても進歩しない。
すっかり素人の社会批判やグチの歌がはびこり、もう完全にオワコンだろう。
現代の表現はまったく別のところにある。