凄みのあるヴォーカルというのは、声が出ないのに一生懸命歌っている感じの時である。
絶好調の歌手はあまり心を揺さぶられない。
アマリア・ロドリゲスが来日し、NHKで歌ったのだが、喉の調子が悪かったらしく、全身で、絞り出すように歌う。
迫力は、ライヴとも、ましてや編集した録音とも桁外れだった。懸命に歌うと感動する。
もちろんシロウトがいくら一生懸命歌ってもダメで、基礎と年季があった上での話。
フレディーのウェンブリースタジアムの Seven Seas of Rhye もそんな感じがする。もうHIVに罹患していたのは確かである。
症状があったかどうか知る由もないが(他のメンバーも聞けなかったというから、いかにも英国人である)、やや晩年感のオーラを出しているように見える。
これを聴いてかなり救われた。死して人を救うのだから、すぐれた音楽家というものはじつにすごい。
